不妊症や不育症へのアプローチ


当院ではフィシオエナジェティック®によって症状の原因を調べています。フィシオエナジェティック®では、腕の長さの変化となって現れる体の反応を読み取りながら治療を進めていきます。これをARテスト(腕長反射)と言います。

※当院では医師のような病気の診断や医療行為はできません。フィシオエナジェティック®はあくまで代替療法であり、現代医学で認められていない事をご了承下さい。


不妊症の人によくみつかる問題

  • 痩せすぎ(BMIが18.5以下、体脂肪率が17%以下) &痩せ願望
  • 子供が生まれない事に対するストレス(諦め、絶望、悲しみ、自尊心の低下、夫の期待など)
  • 子供を生んだ後の不安(家族性の病気の心配など)
  • 身体が省エネモードになっている(低血糖、低中性脂肪、甲状腺機能低下、ミトコンドリア機能低下)
  • 性腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)の分泌不全
  • 低メチル化、DNA合成低下
  • プロラクチン過剰
  • インスリン抵抗性&排卵障害
  • 免疫異常

病院の検査で高プロラクチン血症や甲状腺機能低下など不妊に直接関係する問題が見つかる人もいれば、特に何も問題が見つからない人もいます。

何も問題が見つからない人は、不妊治療などしなくてもそのうち授かるかもしれません。しかし、低血糖、低中性脂肪、(病気ではないレベルの)甲状腺機能低下、ミトコンドリア機能低下などがあり身体が省エネモードになっている人が多いです。特に冷え性がある人は省エネモードになっている可能性大です。省エネモードを解除し妊娠しやすい体質にしたほうが良いでしょう。

また、不妊治療自体がストレスになっていて、そのストレスが省エネモードの原因になっている人もいます。その場合は、心理療法を繰り返し行う必要があります。

不妊には男性側の問題も考えられます。特に慢性疲労症候群やEDの方はちゃんとセラピーを受けたほうが良いと思います。

視床下部性無月経に対するアプローチ

視床下部性無月経とは、視床下部が分泌する性腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)の分泌不全によって起こる無月経です。視床下部性無月経の主な原因は、精神的ストレス,過度の体重減少、過度の運動で、若い女性の無月経の原因として最も多いと考えられています。

視床下部性無月経のうち、過度の体重減少によっておこる無月経の事を体重減少性無月経ともいいます。体重減少性無月経の場合、体重を増やしても回復するまでに2~3年くらいかかる事もあります。

無月経にはレベルがあり、深刻度が低いほうから、第1度無月経(プロゲステロンを投与すると出血が起こるレベル)→第2度無月経(プロゲステロンとエストロゲンの2つを投与するとやっと出血が起こるレベル)→不可逆無月経(再び元の状態に戻らないレベル)となります。

無月経になるBMIと体脂肪率はどのくらい?

BMIとは身長だと体重と身長から算出される体格指数で、こちらのサイトで簡単に計算できます。

BMIは日本の基準だと18.5未満で痩せすぎ、世界の基準(WHO)だと16未満で痩せすぎという事になっています。不妊症を治したいなら、BMIはできれば22くらい欲しいところです。

ちなみにBMIが22になる体重は

身長140cmの人は43.12kg
身長145cmの人は46.26kg
身長150cmの人は49.5kg
身長155cmの人は52.86kg
身長160cmの人は56.32kg
身長165cmの人は59.9kg
身長170cmの人は63.588kg
身長175cmの人は67.38kg

日本における不妊治療の第一人者である吉村泰典先生によると、BMIが21以下で第1度無月経になりやすくなり、18以下で第2度無月経になりやすく、16以下で不可逆無月経になりやすいそうです。

体脂肪率は、17%以下で無月経になりやすくなります。不妊症を治したいなら体脂肪率はできれば22%欲しいところです

また、痩せていない人であっても急激で大幅な体重減少は無月経の原因となります。無理なダイエットとリバウンドを繰り返すと卵巣機能が低下し元に戻りにくくなります。

視床下部性無月経の最大の原因はストレスと痩せすぎです。特に多いのが、ストレスで胃の機能が低下しているため、食べなければならないと思っているのに少食な人です。さらにそのストレスを自覚していない人も結構います。

では、なぜ自分のストレスに気づいていないのでしょう?

それは、ストレスとは思えない平凡な日常の小さな刺激やポジティブな体験でさえも、自律神経の調節不全を起こしてしまうからです。例えば、最近の嬉しかった事や楽しかった事を思い出すだけでも落ち着かない身体感覚が出てくる人は少なくありません。このような状態ですから、日常のとても小さな事をテーマにしたトラウマセラピーをたくさん繰り返す必要があります。

それから痩せすぎの原因には痩せ願望が関係している事が多いです。ですから、体脂肪率22%とBMI22を目指す事を私が提案したとしても、「太りたくない」「もっと脚を細くしたい」と思う人がたくさんいます。「体重を増やそう!」という気持ちが全くない場合は体重減少性無月経の改善はとても難しくなります。そのような方が私の所に来ていただいてもお役に立てないでしょう。

しかし、「体重を増やしたくない」という気持ちがあったとしても、「体重を増やそう!」という気持ちもあれば、その2つの相反する気持ち(葛藤)に対する心理療法を行う事によって改善の見込みがあります。その場合、「体重を増やそう!」という気持ち(副人格)を肯定して、「体重を増やしたくない」という気持ちを否定するのではなく、「体重を増やしたくない」という気持ちも認め理解し、その肯定的な役割に気づく必要があります。例えば、愛されたい・認められたいという普段は隠れている気持ちが表面化すると辛くなるので、それらが表面化しないように蓋をしている肯定的役割があるかもしれません。

※私の心理療法についてはこちらのページで詳しく解説しています。

高プロラクチン血症に対するアプローチ

不妊症・無月経・稀初月経・無排卵月経には下垂体ホルモンであるプロラクチンの過剰分泌が関係しています。

プロラクチンの過剰分泌の原因としてまず甲状腺機能低下やドーパミン分泌不足が考えられます。(その他、下垂体腫瘍などがあります)

甲状腺機能低下になると視床下部からTRH(甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン)を過剰に分泌して何とか甲状腺ホルモンを分泌させようとします。しかし、TRHはプロラクチンを分泌させるホルモンでもあるため高プロラクチン血症となります。

甲状腺機能低下の原因として鉄やビタミンAの不足、炎症や酸化ストレス(活性酸素)、環境毒素、自己免疫反応など様々な原因があります。

※甲状腺機能低下についてこちらのページでさらに詳しく解説しています。

またドーパミンの分泌不足の原因としては、、ストレスやモノアミンオキシダーゼというドーパミンを分解する酵素の活性亢進などがあります。

モノアミンオキシダーゼは過剰な銅によって活性亢進するので、銅をデトックスするサプリメントや、銅の拮抗ミネラルである亜鉛やモリブデンなどが有効である場合があります。またストレス対策として心理療法を行う事もあります。

排卵障害・多嚢胞性卵巣症候群に対するアプローチ

多嚢胞性卵巣は女性の20〜30人に1人の割合でみられる、割とよくある疾患です。多嚢胞性卵巣になると排卵ができないため、不妊や月経不順(無月経、無排卵状態)が引き起こされます。

排卵とは、成熟した卵胞が裂けて中から卵子を放出する事です。放出後の卵子が黄体に変化します。

排卵しないと黄体に変化せず、そのため黄体ホルモン(プロゲステロン)も分泌できません。

排卵できないと脳は黄体形成ホルモン(LH)をたくさん出して何とか排卵させようと刺激し続けます。その間、黄体ホルモン(プロゲステロン)が分泌できない状態のまま、卵胞ホルモン(エストロゲン)がたくさん分泌し続けるという状態になります。(↓画像はWikipediaより)

 

排卵障害・多嚢胞性卵巣症候群の原因としてインスリンが効きにくい体質(インスリン抵抗性)があります。インスリン抵抗性があると男性ホルモンが増加します。そして卵巣で男性ホルモンがたくさん作られてしまうせいで排卵を妨げてしまいます。また、にきびや多毛なども男性ホルモンの作用で出現します。

インスリン抵抗性の原因

栄養素の不足
特にカルシウム、マグネシウム、ビタミンD。
運動不足
運動は筋肉におけるインスリン抵抗性を改善させるのにとても効果的です。肥満が解消されなくても比較的短期間でインスリン抵抗性が改善する事もあります。
酸化ストレス(活性酸素)
酸化ストレスは活性酸素の過剰産生と活性酸素消去系の減弱が関係しています。活性酸素を消去するサプリメントを摂取しながら、飲酒喫煙を避け、ストレスが大きかったら減らす事が重要です。
腸内フローラのアンバランス
善玉菌が作り出す短鎖脂肪酸(酢酸、プロピオン酸、および酪酸)にはインスリン抵抗性を改善する作用があります。短鎖脂肪酸が増加し、短鎖脂肪酸の受容体であるGPR43が活性化すると、筋肉や肝臓でのインスリンの働きがよくなります(=インスリン抵抗性が改善する)。

また、脂肪組織でのインスリン抵抗性が強くなる事によって脂肪細胞の増加を抑える事ができます。脂肪細胞からはインスリン抵抗性を悪化させる物質(TNFαや遊離脂肪酸など)が出ているので、短鎖脂肪酸によって脂肪細胞の増加を抑える事は全体としてインスリン抵抗性を改善させる事にもなります。
慢性炎症
炎症を引き起こすTNFα(炎症性サイトカイン)はインスリン抵抗性の原因です。肥大化した脂肪細胞がTNF-αをたくさん産生するので、肥満はインスリン抵抗性の大きな原因となります。TNFαは免疫疾患でも増加しますので、その場合は免疫を正常化するアプローチが必要になります。
遊離脂肪酸
遊離脂肪酸とは脂肪細胞に蓄えられた中性脂肪が分解されて血液に放出され、エネルギー源として活用される脂肪分です。血中の遊離脂肪酸が多いとインスリン抵抗性をおこします。肥大化した脂肪細胞からは遊離脂肪酸をたくさん分泌するので、肥満の人は体脂肪率を下げる事が重要になります。

ただし、遊離脂肪酸は肥満の人だけでなく痩せていて中性脂肪が低い人でも高値になる事があります。その場合は恐らく低血糖が関係してるでしょう。低血糖になってエネルギーがなくなると、血糖の代わりに中性脂肪を分解して遊離脂肪酸を作り出し、遊離脂肪酸からエネルギーを合成しようとします。しかし、ミトコンドリア機能低下があると遊離脂肪酸からエネルギーを合成できないために、血中の遊離脂肪酸が増加します。この場合は、低血糖対策だけでなく、ミトコンドリア機能低下への対策も必要です。

 

免疫異常に対するアプローチ

流産の原因として最も多いのは、胎児の染色体異常であり、両親の染色体が正常だとしてもある程度の確率で起こりうる事で特に治療法はありません。

流産のその他の原因として免疫異常があります。免疫異常の1つは胎児(母体にとっては異物)に対する拒絶反応。これを同種免疫異常と言います。もう1つの免疫異常は母体に対する自己免疫反応。その代表的なのが抗リン脂質抗体異常です。

妊娠すると胎児に拒絶反応が起こらないようにするため、免疫を弱めるようなシステムが働きます。これには免疫抑制酵素:IDOが関係しています。

IDOは下の図のようにトリプトファンというアミノ酸をキヌレニンに変換する酵素です。


トリプトファンはT細胞(という免疫細胞)を活性化させるのに必要なアミノ酸でもあります。ですから、母体はIDOを活性化させてT細胞に必要なトリプトファンを枯渇させることによって、免疫力を下げ、胎児を守ろうとするのです。

「つわり」はこのIDOの活性化とも関係があります。初期のつわりの原因には、IDO酵素の活性化によってキヌレニン→NADと変換される過程でできる中間生成物であるキサンツレン酸が体内で増えてしまう事が関係しています(その他、ヒト絨毛性ゴナドトロピンというホルモンの増加も関係しています)。ビタミンB6はつわりによく効くビタミンとして知られていますが、それはキサンツレン酸を代謝する酵素に必要なビタミンだからです。

このように妊娠すると免疫力を弱めようとするシステムが働きますが、妊娠する前から免疫を正常にしておく事が重要です。

※免疫異常についてこのページでさらに詳しく解説しています。

低血糖、低中性脂肪、甲状腺機能低下、ミトコンドリア機能低下 へのアプローチ

病院の検査で不妊に関係しそうな異常が何も見つからない場合でも、エネルギーを節約して使う体質(スマホの省エネモードのような状態)になっている人は多いと思います。特に冷え性の人はほぼ省エネモードになっている可能性が高いでしょう。この省エネモードを解除する事が妊娠しやすい体質につながります。

低中性脂肪や低血糖

血糖や中性脂肪はATPというエネルギーを作る材料です。なので低血糖や低中性脂肪はエネルギー不足の原因となり、身体は甲状腺機能を低下させて省エネモードとなります。

中性脂肪は体内でエネルギーとして使われる脂肪です。ですから中性脂肪が低いと慢性疲労になります。他に冷え性も代表的な症状です。中性脂肪の値は30~50くらいでも正常という事になっていますが、それくらいではエネルギー不足の症状が出やすくなります。栄養療法的には80~90くらいが丁度良いと言われています。

低血糖・低中性脂肪の原因として、まず食が細く食べる量が少なかったり、糖質制限をしている事が考えられます。ちょっと食べただけで胃が膨れて食べられない人はストレスが原因になっている事が多いので心理療法が効果的かもしれません。

また、中性脂肪が低くなる原因に低血糖症が大きく関係しています。なぜなら、低血糖になると中性脂肪をエネルギー源として消費するからです。そして低血糖症の大きな原因が副腎疲労です。そのため、低血糖や低中性脂肪には副腎を活性化させるアプローチが必要になります。副腎疲労もやはりストレスが大きな原因になっていて減らせるストレスを減らす事や心理療法を行う必要があるかもしれません。

ミトコンドリア機能低下

一般的な基準値だと、だいたいTSHは4.5μU/ml以上、FT3は2.2pg/dl以下、FT4は0.8ng/dl以下で問題になるようです。しかし理想としては、TSHが1.0μU/ml以下、FT3は3.0~4.0pg/dl、FT4が1.5ng/dlくらいが目安であり、基準値内でも改善の必要がある場合が多いのです。なので病院の検査で異常無しと言われても栄養療法的には甲状腺機能を改善する必要があるかもしれません。

ミトコンドリアはATPというエネルギーを合成する、細胞内にあるエネルギー工場です。そして、甲状腺ホルモンはミトコンドリアを活性化させるホルモンです。

しかし、ミトコンドリア機能が低下してエネルギーが十分に作れない状態にあると、甲状腺機能を低下させて省エネモードにします。なので甲状腺機能低下がある場合、ミトコンドリア機能のチェックは重要になります。

※甲状腺とミトコンドリアは卵と鶏のような関係です。つまり、甲状腺機能低下が原因でミトコンドリア機能が低下している場合もあるし、その反対に、ミトコンドリア機能低下が原因で甲状腺機能低下している場合もあります。

ミトコンドリア機能を低下させている最大の原因は活性酸素です。なぜなら、活性酸素を発生させる最大の場所がミトコンドリア(の電子伝達系)だからです。抗酸化対策がちゃんとできていないとミトコンドリアは自らが産生する活性酸素にダメージをうけます。

それから水銀などの有害重金属やカンジダ作り出す毒素によってミトコンドリア機能が低下します。

ミトコンドリア機能を高める栄養素・サプリメントには以下のようなものがあります。ただし活性酸素対策をやらずにミトコンドリアを活性化すると、ミトコンドリアは自らが作り出した活性酸素にダメージをうけて、さらに悪化します。

  • ビタミンB郡
  • マグネシウム
  • コエンザイムQ10
  • NADH

甲状腺ホルモンの合成、T4からT3への変換、甲状腺ホルモン受容体の活性化に必要な栄養素

エネルギー不足を意味する、低血糖・低中性脂肪、ミトコンドリア機能低下などがあると甲状腺機能低下になります。また当然ながら、断食や無理なダイエットをして飢餓状態にすると、身体は生き延びるための防衛反応として甲状腺機能が低下します。

その他、以下のような栄養素が不足しても甲状腺機能低下が起こります。

鉄は甲状腺ホルモンを産生する甲状腺ペルオキシダーゼ(TPO)という酵素に必要です。またT4をT3に変換する時にも鉄を必要とします。 ただし鉄は細菌や真菌の格好の餌です。 細菌や真菌の問題がある時に鉄を補給してしまうと、さらに繁殖してしまいます。また酸化ストレスがある時も鉄は有害です。活性酸素の中でも最も強力なヒドロキシラジカルの生成を促進するのが鉄で、活性酸素対策を十分にしないで安易に鉄を接種するとヒドロキシラジカル生体にダメージを与えます。 このように鉄は諸刃の剣のような栄養素です。腸内環境が悪かったり酸化ストレスがある場合は鉄は飲まないようにします。まず腸内環境や酸化ストレスなど栄養療法の基本からやる事が重要です。
ビタミンA
甲状腺ホルモン受容体の活性化に必要です。ビタミンAはβカロチンなどの前駆体から変換する事ができますが、その変換する能力が遺伝的に低い人もいます。その場合はβカロチンではなくビタミンAを摂取する必要があります。
セレン、マグネシウム
T4(活性が弱い甲状腺ホルモン)をT3(活性化型の甲状腺ホルモン)に変換する時に必要です。
ヨード、チロシン
甲状腺ホルモンの主原料です。しかし日本人の場合は海藻をよく食べるのでヨードが欠乏している人はほとんどいません。またヨードは過剰摂取しても甲状腺機能を低下させます。
亜鉛、ビタミンD3、ビタミンB郡
何らかの甲状腺機能に関係ある事がわかっています。

 

エピジェネティクスへのアプローチ

葉酸を摂取すると神経管閉鎖障害(二分脊椎、無脳症など)を防げるという事から、妊婦には葉酸が重要だという事はよく知られています。二分脊椎だと生涯にわたって治療やリハビリが必要になる可能性があり、無脳症だと流産・死産となる重大な疾患です。

ですからサプリメントの葉酸を摂取する人が多いようですが、それには注意が必要です。(後述します)

なぜ妊婦に葉酸が重要かというと以下の2つが関係しているからです。

1.メチル化に関わる栄養素だから

2.細胞分裂に必要なDNA合成に関わる栄養素だから

両親から受け継いだDNA(遺伝子)の配列を変える事はできませんが、遺伝子の働きを調節するエピジェネティックスという仕組みは栄養状態により変化し、それによって体質が良くも悪くも変わります。しかし、胎児期の栄養状態により生じたエピジェネティックスの変化は成長してからも変化しにくいのです。(成長してから生じたエピジェネティクスの変化は再び変化しやすい)

ですから母親の妊娠前、妊娠中の栄養状態が悪ければ、産まれてきた子どもの体質に一生大きな影響を及ぼすことが明らかになっています。

そして、エピジェネティクスの働きの中心となるのがメチル化であり、そのメチル化に大きく関係する栄養素の1つが葉酸です。(メチル化には、他にも ビタミンB6、ビタミンB12、メチオニン、トリメチルグリシンなどの様々な栄養素が関係しています。)

次に、最初に述べた神経管閉鎖障害は妊娠初期に神経管を元に脳や神経など様々な器官が作られる時期に、DNA合成と細胞分裂がちゃんとできなかった事が原因です。

これでメチル化も細胞分裂も胎児に非常に重要なのが理解できたでしょうか?

どちらも重要なのですが、葉酸は細胞分裂よりもメチル化のほうに優先的に使用されます。つまり、私達の体は細胞分裂よりもメチル化を優先しているのです。

しかし、サプリメントの葉酸は細胞分裂を促しますが、メチル化は抑制してしまうのです。ですから、私はサプリメントの葉酸をおすすめする事はありません。代わりに非加熱の葉物野菜などから摂取するサプリメントではない葉酸や、サプリメントならメチル葉酸をおすすめしています。これらはメチル化を抑制しないからです。

心理的ストレスへのアプローチ

不妊症治療を何回か失敗したため落ち込み、悲しみ、絶望し、自信を失い不妊治療を継続する事がストレスになっている女性が結構いらっしゃいます。

子供を産まないと幸せになれないという間違った思い込みや、夫の期待に応えなければならないというプレッシャーを抱えている人もいます。

また、遺伝的に病気をもった子が生まれてくるのではないだろうかという不安や、自分は親として不適合者じゃないかという不安をもっている方もいます。

こういった心理的ストレスが身体に悪影響を及ぼしている事は明らかです。

私が行う心理療法では、まず安心・安全を感じて、「今ここ」という感覚をしっかり感じられるようなセラピーを行います。同時に、自然を感じたり、軽い運動や散歩などをして気分転換を上手にできるように少しずつ変化させてゆきます。

そのようなセラピーを最低でも何回か繰り返してから、現在感じている不安・悲しみ・焦り・自信喪失などをテーマにして心理療法を行います。

※私の心理療法についてこちらのページで詳しく解説しています。