活性酸素について


当院ではフィシオエナジェティック®によって症状の原因を調べています。フィシオエナジェティック®では、腕の長さの変化となって現れる体の反応を読み取りながら治療を進めていきます。これをARテスト(腕長反射)と言います。

※当院では医師のような病気の診断や医療行為はできません。フィシオエナジェティック®はあくまで代替療法であり、現代医学で認められていない事をご了承下さい。

活性酸素とは

 

基本的には以下の4つを活性酸素(ROS:リアクティブ・オキシジェン・スピーシーズ)と言います。

  • スーパーオキシド
  • 過酸化水素
  • ヒドロキシラジカル ←最も有害な活性酸素
  • 一重項酸素

※活性酸素と似た意味の用語にフリーラジカルというのがあります。スーパーオキシドとヒドロキシラジカルはフリーラジカルですが、過酸化水素と一重項酸素はフリーラジカルではありません。

活性酸素とは普通の酸素が少し変化した物質で、少量であれば体に有益な面もあるのですが、増えすぎると体に害を与えます。ほとんどの病気に活性酸素がある程度は関係しています。

活性酸素に有効なサプリメント

  • スーパーオキシド(活性酸素の一種)を代謝するSOD(スーパーオキシドジスムターゼ)という酵素の活性を高めるために、マンガン、亜鉛、銅のサプリメントが有効です。
  • 過酸化水素(活性酸素の一種)を代謝するGPx(グルタチオンペルオキシダーゼ)やカタラーゼという酵素の活性を高めるために、セレン、マンガン、システイン、ビタミンD3などのサプリメントが有効です。
  • オメガ3のサプリメントはアラキドン酸(脂肪酸の一種)がプロスタグランジンやロイコトリエンに代謝される過程で発生する活性酸素を抑制する事ができます。
  • BCAA(というアミノ酸)のサプリメントまたはBCAAを含んだタンパク質を食事から多く摂取する事で、活性酸素を中和する事ができるアルブミン(という血中のタンパク質)を増やす事できます。
  • メチル葉酸、メチルコバラミン、P5P(ビタミンB6の活性化型)は活性酸素を発生させるホモシステインを減少させます。
  • ビタミンE、ビタミンC、コエンザイムQ10は過酸化脂質(活性酸素によって酸化した脂質)に効果があります。
  • その他、βカロチンなどのカロテノイド類(植物の色素成分)は活性酸素を中和するのに有効です

活性酸素の問題がある時は鉄サプリは駄目!

過酸化水素はフェントン反応によって活性酸素の中でも最も細胞傷害性が強いヒドロキシラジカルに変わります。そのフェントン反応を促進させるのが遊離鉄(タンパク質と結合していないフリーの鉄)です。

鉄剤を飲むと胃が痛くなる人が結構いますが、それは鉄剤を飲んだ直後から胃で活性酸素が発生し胃を荒らしているからです。

また、鉄はカンジダ菌や大腸菌のような悪玉菌の格好の餌なので、腸内フローラが悪玉菌優勢になっている時はさらに悪化させてしまうからです。(善玉菌も鉄を必要としますが、悪玉菌ほど必要としません)

活性酸素の問題がある時や悪玉菌が繁殖している時は、生体防御反応として鉄の吸収をブロックするシステムが働きます。(肝臓で産生されるヘプシジンというペプチドホルモンが鉄の吸収を抑制します。)そのために病院の血液検査でもヘモグロビンや貯蔵鉄(フェリチン)が足りないと判明する事がありますが例え鉄が不足していても鉄を摂取すると危険です。

鉄は諸刃の剣のようなものなのです。鉄はヘモグロビンのようなタンパク質と結合した「鉄タンパク質」という形態では割と大丈夫なのですが、タンパク質と結合していないフリーの鉄(遊離の鉄)は有害です。

では、なぜ遊離鉄ができるのでしょう? それはスーパーオキシドという活性酸素の一種も関係しています。スーパーオキシドは鉄タンパク質から鉄イオンを引き抜く作用があり、遊離鉄を増加させます。

スーパーオキシドはSOD(スーパーオキシドジスムターゼ)という酵素によって代謝されるので、SODの酵素活性を高めるために酵素の補因子であるマンガン・亜鉛・銅などのミネラルが必要かもしれません。なお遺伝子多型によってSODの酵素活性が低い人もいます。またSODは糖化反応(メイラード反応)によって活性が著しく低下することから糖尿病患者は活性が低下しています。

このような理由で、鉄が不足している人でも、まず酸化ストレスや悪玉菌の問題を解決してから鉄を補うべきです。

脳は酸化ストレスに特に弱い

脳の重量は体重の2%であるにもかかわらず、吸入した酸素の20%を消費します。

また活性酸素の標的になる多価不飽和脂肪酸を多く含む一方で、脳の抗酸化物質、酵素レベルは他の臓器に比べ低いのです。

脳に関する様々な疾患には活性酸素によるダメージが関与しています。

ストレスによる活性酸素~心理療法の必要性


↑コルチゾールの合成と分解の両方にシトクロームP450(CYP450)という酵素群が働くのですが、この酵素は副産物として活性酸素を出します。

私達はストレスを受けるとコルチゾールというストレスホルモンを副腎皮質から分泌します。

そのコルチゾールがコレステロールから合成される過程の副産物として活性酸素が発生します。またいらなくなったコルチゾールを肝臓で分解する過程でも活性酸素が発生します。

活性酸素の原因としてストレスは非常に大きい要素なのです。ストレスによって発生した過剰な活性酸素はいたるところにダメージを与えます。

ですから心理療法によってストレスコントロールをする事で活性酸素の発生を抑える必要がある人も多いのです。

毒素を減らす必要性


肝臓の解毒はフェーズ1とフェーズ2という2段階システムになっています。

フェーズ1はシトクロームP450(CYP450)という酵素群が働いているのですが、この酵素は副産物として活性酸素を産生します。

よって、環境毒素、薬物、過剰なホルモン(例えばコルチゾールやエストロゲン)、カフェインの摂りすぎ、アルコール、タバコなどによってシトクロームP450が活性化すればするほど活性酸素もたくさんできるのです。そして肝臓は自らが産生した活性酸素によってダメージを負っていきます。

※環境毒素とは農薬、プラスチックに含まれるビスフェノールAやフタル酸エステル、PCBなどのダイオキシン類、銀歯(アマルガム)や魚に含まれる水銀、歯磨きやフライパンに使われているフッ素などです。

これらの毒素を取り込まないようにして活性酸素を減らす事が重要です。

活性酸素対策をせずにミトコンドリアを活性化してはいけない


私達の体の中で最も活性酸素を生成しているのは細胞の中にあるミトコンドリアです。ミトコンドリアではATPというエネルギー(の通貨としての役割を果たす物質)を作っていますが、その時に活性酸素をたくさん発生しています。

特にATP合成の最終段階である電子伝達系の複合体Ⅰと複合体Ⅲという部分で活性酸素が発生します。複合体Ⅰと複合体Ⅲで発生した活性酸素はSODとグルタチオンペルオキシダーゼという酵素によって代謝される必要があります。

しかし亜鉛、銅、マンガン、セレン、グルタチオンなどが不足していて酵素活性が低いと細胞はミトコンドリアが作り出した活性酸素のダメージを受けてしまいます。ですから活性酸素対策ができていないのに運動などをしてATP合成を促進させてしまうと細胞はどんどん駄目になってしまいます。

図を見ていただければわかると思いますが、コエンザイムQ10を摂取すると次の複合体Ⅲを活性化する事となります。なので、コエンザイムQ10を摂取すると複合体Ⅲで発生する活性酸素を増大させる可能性があり注意が必要です。(コエンザイムQ10を摂取しても活性酸素は発生しないという研究もあります。)

過酸化脂質


過酸化脂質とは中性脂肪やコレステロールなどの脂質が活性酸素によって酸化されたもので、がんや動脈硬化などを引き起こします。

過酸化脂質は、最も細胞傷害性が強い活性酸素であるヒドロキシラジカルが脂質を脂質ラジカルに変えるところからスタートします。そこから脂質ラジカル→脂質ペルオキシルラジカル→再び脂質ラジカルと連鎖的に繰り返す過程で過酸化脂質が生成されます。

ややこしいですよね。。。。

つまり、ヒドロキシラジカルが脂質を過酸化脂質に変えてしまうという事です。

その連鎖的脂質過酸化反応を停止させるのがビタミンEです。

そしてビタミンCやコエンザイムQ10はビタミンEを再生する働きがあります。

アラキドン酸の代謝の過程で活性酸素が発生する


牛肉や豚肉の脂肪には植物油にはほとんど含まれていない、必須脂肪酸の1つであるアラキドン酸が含まれています。このアラキドン酸を代謝する酵素が①シクロオキシゲナーゼ、②リポキシゲナーゼ、③シトクロームP450ですが、これらの酵素が活性化した時は副産物として活性酸素が生まれます。

シクロオキシゲナーゼやリポキシゲナーゼはオメガ3によって抑制されますので、魚やオメガ3のサプリメントを摂取する事によって活性酸素を減らす事ができます。

好中球やマクロファージによる活性酸素

好中球(白血球の一種)はスーパーオキシド→過酸化水素→次亜塩素酸という流れで活性酸素を産生しカンジダなどの敵を攻撃します。

好中球は適度に働けば良いのですが、免疫異常よって好中球が過度に活性化すると、好中球が産生した活性酸素によって体が蝕まれてゆき、炎症性腸疾患などの病気になる場合があります。

その場合は、活性酸素対策を強化しながら、免疫異常の原因を探し対処する必要があるでしょう。

虚血再灌流による活性酸素

血流を遮断して虚血状態にした状態から、再び血流が一気に流れる時(虚血再灌流)に大量の活性酸素が発生します。

例えば加圧トレーニングは虚血再灌流を利用したトレーニング方法なので活性酸素対策は他のトレーニングより重要になると思います。

まとめ:主な活性酸素産生系

活性酸素の良い面を活用する

活性酸素は悪いものと思っている方が多いと思いますが、実はウイルスや細菌などをやっつけたりする良い働きもあります。病気に対する抵抗力として活性酸素は必要でもあるのです。

その活性酸素の良い面を利用しているのが、一部の病院でがん治療に応用されている高濃度ビタミンC点滴やαリポ酸点滴などです。ビタミンCやαリポ酸には抗酸化作用があるのですが、非常に高濃度だと逆に活性酸素を発生させます。

カタラーゼやグルタチオンペルオキシダーゼ(GPx)はがん細胞では作用していないので、高濃度のビタミンCやαリポ酸点滴により発生した活性酸素によりがん細胞はダメージを受けます。その時、正常細胞のカタラーゼやグルタチオンペルオキシダーゼ(GPx)がしっかり作用している事が重要です。でなければ、正常細胞まで活性酸素によってダメージを受けます。