過食嘔吐(摂食障害) ― 栄養と身体感覚から整えていった回復記録
過食嘔吐でお悩みだった方が、継続的に通われ、現在は症状がまったく出なくなりました。もう数ヶ月間、一度も過食嘔吐をしておらず、再発の気配もありません。心身ともに落ち着き、以前よりも明るく、生き生きとした日常を過ごされています。
通い始める前は、ナイアシンや鉄などのメガビタミン療法を自主的に試されていました。しかし、摂取量が多すぎたためか、かえって体調が悪化し、不安感や倦怠感が強まってしまったそうです。その経験から、「サプリメントだけではなく、自分の体に本当に合う方法を見つけたい」と感じて来院されました。
当初の過食嘔吐の頻度は週に3回ほどで、しばらくしても2週間に1回ほど続いていました。最初の20回ほどは大きな変化が見られず、停滞が続きましたが、その後、1週間ほどまったく過食嘔吐が起こらない期間が現れ、そこから少しずつ安定していきました。
この方には、主に身体感覚に働きかける心理療法を継続的に行いました。頭で考えすぎず、身体の感覚を感じながら自己調整力を回復していくプロセスを丁寧に積み重ねていきました。
また、この方の場合はサプリメントの選択も重要な要素でした。ARテスト(腕長反射テスト)で必要な栄養素を調べたところ、NAC(N-アセチルシステイン)、ホスファチジルコリン、グリシン酸マグネシウム、フラクトオリゴ糖、亜鉛、マンガンが特に必要であることがわかりました。これらを取り入れても体調を崩すことはなく、むしろ穏やかにエネルギーが回復していったのが印象的でした。
つまり、同じサプリメントであっても「何をどれだけ摂るか」は個体差が大きく、自己判断での摂取よりも、体の反応を丁寧に確かめながら進めることが大切です。この方はまさに、自分の身体と対話しながら回復を進められた好例でした。
ここまでの回復には、1年7ヶ月、合計45回のセッションを要しました。時間はかかりましたが、少しずつ身体が安心を取り戻していったことで、自然と過食嘔吐の衝動も消えていきました。


