ドケルバン病(腱鞘炎)・TFCC損傷・手根管症候群のアプローチ
当院ではフィシオエナジェティック®によって症状の原因を調べています。フィシオエナジェティック®では、腕の長さの変化となって現れる体の反応を読み取りながら治療を進めていきます。これをARテスト(腕長反射)と言います。
※当院では医師のような病気の診断や医療行為はできません。フィシオエナジェティック®はあくまで代替療法であり、現代医学で認められていない事をご了承下さい。
ドケルバン病(ドケルバン腱鞘炎)やTFCC損傷、手根管症候群は以下のような人によく発症します。
- フライパンや工具などを使った手作業の多い人
- 40歳代以降の女性や妊娠・出産の時期の人
病院などの治療として一般的に行われているのは、消炎鎮痛剤、ステロイド注射、テーピング、サポーター、そして最終手段として手術です。(どれもその場しのぎ的な。。。)
フライパンや工具などを使った手作業の多い人の場合、手作業をやめて1ヶ月くらいサポーターをつけたりして手を完全に休めると確かに良くなるようですが、また手を使い始めると、すぐに痛くなる人が多いようです。
また40歳代以降の女性の場合、エストロゲン(女性ホルモン)の減少が関係している事がわかっているので、減少したエストロゲンの代わりに大豆イソフラボンから作られるエクオールというサプリメントが使われる事もあるようです。
私はドケルバン病の人に対して、フィシオエナジェティックRによる総合的なセラピーを提供しています。
1)筋骨格系の施術で改善するタイプなのか?
2)心理療法で改善するタイプなのか?
3)栄養療法で改善するタイプなのか?
私が行っているフィシオエナジェティック®のやり方だと、どのタイプなのか?を見極める事ができ、その人にあったオーダーメイドなセラピーを提供する事ができます。
タイプ1:筋骨格系の施術で改善するタイプ
手・腕・肩などの筋骨格系の施術で改善する可能性のある人は、フライパンや工具などを使った手作業の多い人です。よくある事ですが、手の痛みに全く関係なさそうな所、例えば足とか骨盤などに施術をする事で改善する事もあります。おそらくこのタイプの人は、私の所ではなくてもお近くの整体やカイロプラクティックの治療院で改善する可能性が高いタイプです。
タイプ2:リラックス法や心理療法で改善するタイプ
リラックスが苦手で手・腕・肩・首の緊張が抜けないタイプの人には、筋弛緩法、呼吸法、トラウマセラピーなどで自律神経にアプローチすると改善する場合があります。このタイプの人はストレスが何も無い状況でも自律神経が防衛反応をとっています。そして厄介なことに、その事を自覚できていません。なので、まずは自分がリラックスできていないという事に気付けるよう私がガイドする事から開始する事も多いです。
タイプ3:栄養療法で改善するタイプ(このタイプが一番多い)
40歳代以降の女性でしたら、おそらくエストロゲンの分泌低下が関係しています。エストロゲンには健全な骨や関節を作る働きがあり、40代以降、その働きが低下する事で骨や関節の不具合が出てくるのです。このタイプの特徴としては、手を酷使するような事を何もしていなくても痛みが出てきます。そして筋骨格系の施術はあまり効果ありません。
ここから私の考察です。このタイプの女性は、若い時から骨や関節が弱くなる栄養学的要素があったにも関わらずエストロゲンの働きによって何とか弱くならなかったのでしょう。それが40代に入り、エストロゲンが低下しはじめると、ついに骨や関節の症状が出始めるのです。ですからエストロゲンに頼らずに骨や関節を丈夫にするような栄養療法が必要になってくるのです。
また、他の手の疾患であるヘバーデン結節、ブシャール結節、母指CM関節症の女性も多くは40代以降のエストロゲン分泌低下が原因であり栄養療法で改善するタイプです。
エストロゲンに頼らずに骨や関節を丈夫にするアプローチ
インスリン抵抗性
インスリンとは膵臓から分泌される血糖値を下げるホルモンです。そして、このホルモンの効きが悪い状態をインスリン抵抗性といいます。エストロゲンにはインスリンの作用を高める働きがあるので、40歳代以降はエストロゲンの低下とともにインスリンの作用も低下しやすくなります。
そのインスリンは骨代謝にも非常に大きな影響を及ぼしていて、インスリンの働きは健康な骨・関節が作られるためにとても重要です。そのため、インスリン抵抗性の状態になると、古い骨を吸収する破骨細胞と新しい骨を作る骨芽細胞との働きがアンバラランスになり、破骨細胞の作用が優勢の状態になり骨・関節が脆くなります。
なので、40歳代以降はエストロゲンに頼らずインスリンの働きを高めてやると、骨・関節を健康する事ができるでしょう。
インスリン抵抗性の原因には以下のようなものがあり、これらをフィシオエナジェティック®のやり方でチェックし、解決方法を探します
インスリン抵抗性の原因
- 運動不足
- 運動は筋肉におけるインスリン抵抗性を改善させるのにとても効果的です。肥満が解消されなくても比較的短期間でインスリン抵抗性が改善する事もあります。
- 筋肉不足
- 筋肉量が多いほうがインスリンの働きが良くなります。なのでどうせ運動するなら筋肉量が増加するような運動(一番いいのが筋トレ)がおすすめです。
- 酸化ストレス(活性酸素)
- 酸化ストレスは活性酸素の過剰産生と活性酸素消去系の減弱が関係しています。活性酸素を消去するサプリメントを摂取しながら、飲酒喫煙を避け、ストレスが大きかったら減らす事が重要です。心理療法が必要な人も多いです。
- 栄養素の不足
- 特にカルシウム、マグネシウム、ビタミンD、イノシトール
- 腸内環境
- 善玉菌が作り出す短鎖脂肪酸(酢酸、プロピオン酸、および酪酸)にはインスリン抵抗性を改善する作用があります。短鎖脂肪酸が増加し、短鎖脂肪酸の受容体であるGPR43が活性化すると、筋肉や肝臓でのインスリンの働きがよくなります(=インスリン抵抗性が改善する)。
- 慢性炎症
- 炎症を引き起こすTNFα(炎症性サイトカイン)はインスリン抵抗性の原因です。肥大化した脂肪細胞がTNF-αをたくさん産生するので、肥満はインスリン抵抗性の大きな原因となります。TNFαは免疫疾患でも増加しますので、その場合は免疫を正常化するアプローチが必要になります。
- 遊離脂肪酸
- 遊離脂肪酸とは脂肪細胞に蓄えられた中性脂肪が分解されて血液に放出され、エネルギー源として活用される脂肪分です。血中の遊離脂肪酸が多いとインスリン抵抗性をおこします。肥大化した脂肪細胞からは遊離脂肪酸をたくさん分泌するので、肥満の人は体脂肪率を下げる事が重要になります。ただし、遊離脂肪酸は肥満の人だけでなく痩せていて中性脂肪が低い人でも高値になる事があります。その場合は恐らく低血糖が関係してるでしょう。低血糖になってエネルギーがなくなると、血糖の代わりに中性脂肪を分解して遊離脂肪酸を作り出し、遊離脂肪酸からエネルギーを合成しようとします。しかし、ミトコンドリア機能低下があると遊離脂肪酸からエネルギーを合成できないために、血中の遊離脂肪酸が増加します。この場合は、低血糖対策だけでなく、ミトコンドリア機能低下への対策も必要です。
コラーゲン
エストロゲンはコラーゲンの合成を促進します。なのでエストロゲンが低下すると軟骨や腱や靭帯が弱くなります。
コラーゲンを合成するには、タンパク質(特にプロリン、リジンなどのアミノ酸)、ビタミンC、鉄、亜鉛などが必要です。私の観察では、特にタンパク質が足りていない人が多いですね。
それから、この中では特に鉄を不用意に摂取すると危険です。もし鉄の不足があったとしても、活性酸素対策などをしっかり行ってから摂取する事が大切です。
免疫
エストロゲンは好中球やマクロファージなどの細胞性免疫を抑制する働きがあります。なのでエストロゲンが低下すると細胞性免疫の働きが過剰になる事があります。
細胞性免疫は適度に働く事でガンや感染を防ぎますが過剰に働くと炎症を起こします。肥満や腸内環境などを改善して慢性炎症の体質を改善する事も重要です。