月経困難症・生理痛に対するアプローチ


当院ではフィシオエナジェティック®によって症状の原因を調べています。フィシオエナジェティック®では、腕の長さの変化となって現れる体の反応を読み取りながら治療を進めていきます。これをARテスト(腕長反射)と言います。

※当院では医師のような病気の診断や医療行為はできません。フィシオエナジェティック®はあくまで代替療法であり、現代医学で認められていない事をご了承下さい。

月経困難症がある場合、子宮内膜症や子宮筋腫や子宮腺筋症などの病気が隠れているかもしれないので、当院よりもまず病院を受診する事をおすすめします

月経困難症の人によくある問題

  • 低メチル化
  • エストロゲンの分解不足
  • 性腺刺激ホルモン過剰
  • メラトニン合成不足
  • オメガ3の不足
  • 活性酸素
  • 重金属

機能性月経困難症に対するアプローチ

機能性月経困難症とは、子宮内膜症・子宮筋腫・子宮腺筋症などの明らかな病変がないタイプの月経困難症です。

子宮口がが狭い事が機能性月経困難症の原因である事もありますが、その場合は出産をすると月経痛が軽くなる事があります。

その他に、プロスタグランジンの過剰産生が機能性月経困難症に大きく関係しています。

月経の時には、子宮収縮物質であるプロスタグランジンE2(PGE2)の作用によって、子宮内膜が剥がれて血液ととも排出されます。しかしプロスタグランジンE2は炎症と痛みを増強させる物質でもあります。なので、プロスタグランジンE2が過剰に産生される体質だと月経痛が酷くなります。

プロスタグランジンE2の過剰産生にはEPAなどのオメガ3脂肪酸を摂取する事が有効です。

機能性月経困難症の原因となるプロスタグランジンE2は身体に必要な物質でもあり決して悪者ではありません。しかし炎症を抑制するプロスタグランジンE1やプロスタグランジンE3とのバランスが崩れると、炎症や痛みの原因となります。

プロスタグランジンE2は、主に獣肉の脂に含まれるアラキドン酸という脂肪酸やサラダ油などの植物油に多く含まれるリノール酸から合成されるので、獣肉の脂やサラダ油を減らす事が必要になります。しかしだからといってベジタリアンやビーガンのように肉を完全にカットしてしまうと肉に特徴的な栄養素(例えばメチオニンやビタミンB12など)が不足してしまうので、脂肪分の少ない肉を選んだり、茹でて脂肪を落とすなどの工夫をして食べる事をおすすめします。

抗炎症作用があるプロスタグランジンE3はEPAから合成されます。なので、EPAを含む魚や、EPAに変換されるαリノレン酸を含むアマニ油・シソ油・えごま油・インカインチオイル・チアシードなどを摂取すると抗炎症作用が高まります。

しかしαリノレン酸からEPAに変換するには亜鉛・マグネシウム・ビタミンBなどが必要である事とストレスや高血糖など様々な要因によって抑制されている事が多いので、私としてはαリノレン酸より魚からEPAを直接摂取したほうが良いと思います。また水銀を多く含む大型魚ではなく小型魚から摂取するか、水銀を含んでいないEPAあるいはフィッシュオイル・クリルオイル(オキアミオイル)などのサプリメントを摂取すると良いでしょう。

またEPAはジホモガンマリノレン酸からアラキドン酸への変換を抑制する働きがあり、こちらの働きのほうでも炎症を抑制します。

それから、ボラージオイルや月見草オイル(イブニングプリムローズオイル)などに含まれているガンマリノレン酸(GLA)が抗炎症作用のあるプロスタグランジンE1変わるので月経困難症に有効かもしれません。ただし、図を見ていただければわかりますが、ガンマリノレン酸はジホモガンマリノレン酸とアラキドン酸を経てプロスタグランジンE2にも変わるので、私はあまり使う事はありません。(しかし有効な人もいるかもしれません。)

またアラキドン酸からプロスタグランジンE2に変わる時に活性酸素がたくさん発生し炎症を促進するので、活性酸素対策も重要です。


器質性月経困難症に対するアプローチ

器質性月経困難症とは、子宮内膜症・子宮筋腫・子宮腺筋症など明らかな病変があるタイプの月経困難症です。そういった病変がある場合は病院での治療が必要です。私がお手伝いできるかもしれない事は、そのような病変の再発や進行を防ぐ体質にする事です。

器質性月経困難症にはエストロゲン過多の体質が関係しています。子宮内膜症・子宮筋腫・子宮腺筋症などの病変はエストゲンに反応して成長していくからです。

ではなぜエストゲン過多の体質になるのでしょうか?
次のような事が考えられます。

  • 過剰なエストロゲンを分解できない
  • エストロゲンの産生が亢進している

まず、過剰なエストロゲンはCYP1A1やCOMT(カテコール-O-メチルトランスフェラーゼ)という酵素によって分解されます。

CYP1A1を活性化させるためには、アブラナ科の野菜に含まれている有効成分であるDIM(ジインドリルメタン)やインドール-3-カルビノール(I3C)のサプリメント、あるいはブロッコリーやキャベツなどのアブラナ科の野菜を意識して多く摂取する事が役に立ちます。また、CYP1A1という酵素にはヘムが必要なので貧血対策が必要かもしれません。例え鉄欠乏性貧血でも活性酸素や悪玉の菌が増殖している場合などは鉄の摂取で悪化しますので鉄を摂取しても悪影響がないかちゃんと調べる必要があります。またヘムの分解を防ぐ作用があるビタミンCが有効な人もいます。

COMTはメチル化酵素の一種です。メチル化が不十分な低メチル化という状態で酵素活性低下がします。メチル化を促進するためには、まず活性酸素対策、重金属対策、腸内環境対策、カンジダ対策など栄養療法の基本的な事をする事と、メチオニンを多く含む動物性タンパク質、マグネシウム、ビタミンB郡(とくにB6、葉酸、ビタミンB12)などが必要になります。

エストロゲンの産生が亢進する原因としては、性腺刺激ホルモンの抑制作用があるメラトニンの分泌不足があるかもしれません。

そのメラトニンの前駆物質はセロトニンです。セロトニンは以下の図のように  トリプトファンからトリプトファン水酸化酵素(TPH)、芳香族L-アミノ酸脱炭酸酵素(AADC)による二段階の酵素反応を経て合成されます。

トリプトファン水酸化酵素(TPH)にはBH4という補酵素が必要です。BH4はBH2から変換されてできるのですが、その時に葉酸が必要です。またTPHはビタミンDによって酵素活性が高まります。そのビタミンDはコレステロールから合成されますが、その合成経路に問題があったり、遺伝的にビタミンD受容体(VDR)に問題があって、ビタミンDが作用しにくい人がいます。次に芳香族L-アミノ酸脱炭酸酵素(AADC)にはビタミンB6が必要です。

そしてセロトニンからメラトニンへ変換するためにはメチル化が必要です。ですから、COMTの所で書いたようなメチル化対策をする必要があるかもしれません。