腸内細菌異常に対するアプローチ
当院ではフィシオエナジェティック®によって症状の原因を調べています。フィシオエナジェティック®では、腕の長さの変化となって現れる体の反応を読み取りながら治療を進めていきます。これをARテスト(腕長反射)と言います。
※当院では医師のような病気の診断や医療行為はできません。フィシオエナジェティック®はあくまで代替療法であり、現代医学で認められていない事をご了承下さい。
腸内細菌異常のための5Rプログラム
腸内細菌異常に直接関係あるのはRemove pathogens(リムーブパソジェン)とReinoculate(リインアキュレイト)ですが、その他の項目も全て網羅しなければなりません
- 1)Remove toxins(リムーブトキシン)=重金属・環境化学物質などの毒素を取り除く
クロレラ、ガーリック、NAC、モリブデン、ビタミンD3、マグネシウムなど - 2)Remove pathogens(リムーブパソジェン)=カンジダやバクテリアなどの病原を取り除く
グレープフルーツシード、タイム、ティーツリー、ゴールデンシールなど - 3)Replace(リプレイス)=胃酸や消化酵素の代わりになるものを補う
ベタインHCL、パンクレアチン、バイルアシッド、ダンデリオン、リンゴ酢など - 4)Reinoculate(リインアキュレイト)=プロバイオティクスなど善玉菌を再び取り入れる
乳酸菌、ビフィズス菌など - 5)Repair(リペアー)=Lグルタミンなどで腸粘膜を修復する Lグルタミン、アロエベラ、クルクミン、オメガ3、ビタミンD3,ビタミンAなど
善玉菌を増やすサプリメント
※私はまずプレバイオティクスの中からARテストによって選択しています。そして、もしプレバイオティクスに効果的なものがなかった場合にプロバイオティクスや腸内細菌の代謝物から選択しています。
プレバイオティクス(腸内細菌の餌)
- イヌリン
- フラクトオリゴ糖
- キシロオリゴ等
- アラビノガラクタン
- ペクチン
- アカシアファイバー
- グリーンバナナ粉
- アーティチョークファイバー
- レジスタントスターチ(冷えたご飯などから摂取)
プロバイオティクス(腸内細菌そのもの)
※「ラクトバチルス」と名のつくものが乳酸菌です
- ラクトバチルス・アシドフィルス
- ラクトバチルス・プランタラム
- ラクトバチルス・ラムノサス
- ラクトバチルス・カゼイ YIT 9029 (乳酸菌シロタ株)
- ラクトバチルス・ロイテリ
- ラクトバチルス・ガセリ
- ラクトバチルス・ブルガリクス
- ラクトバチルス・ブレビス
- ビフィドバクテリウム・ロンガム
- ビフィドバクテリウム・ビフィダム(ビフィズス菌)
- ストレプトコッカス・サーモフィラス
- クロストリジウム・ブチリカム・ミヤリ株(酪酸菌)
- エンテロコッカス・フェカリス(フェカリス菌)
腸内細菌の代謝物
- ラクティス(乳酸菌生成エキス)
- ブチルEN(酪酸のサプリメント)
- コリビオゲン
プロバイオティクスは生きて腸に届き定着する訳ではない
プロバイオティクスを摂取して善玉菌を増やすという事が免疫に良いという事はみなさんご存知だと思います。しかし、実は、プロバイオティクスのサプリメントは、生きて腸に届き、そこで増殖するという事はほぼありません。
では何故、プロバイオティクスが効果があるのかというと、プロバイオティクスの菌体成分が善玉菌の餌となっているからです。
それからもう1つ理由があります。
プロバイオティクスの菌体成分が腸管の免疫細胞によって認識され免疫系を調整するからです。なので、生きた菌じゃなくても死菌でも効果があります。さらに生きた菌より死菌のほうが効果があるという事もわかっています。(薬局にある「ビオフェルミン」も死菌です。)
<さらに詳しく>
1)腸内細菌およびプロバイオティクスの菌体成分は腸管の樹状細胞によって認識されます。
2)次に、その情報が免疫の司令塔であるT細胞に提供されます。
3)そして、その情報を元にT細胞が免疫を調整するという流れになっています。
菌体成分を認識するのは樹状細胞(やマクロファージ)にあるパターン認識受容体(PRR)です。
パターン認識受容体は腸内細菌やプロバイオティクスだけでなく、その他の病原体や破壊または損傷された細胞がだす物質(DAMPs)も認識しています。
パターン認識受容体の代表的なものがトル様受容体(TLR)です。
ヒトでは現在までに10種類のTLR(TLR1~10)の存在が確認されていて、例えば、TLR2は乳酸菌などのグラム陽性菌の菌体成分を認識し、TLR4は大腸菌などのグラム陰性菌の菌体成分を認識する事がわかっています。
※2011年ノーベル生理学・医学賞受賞は、このトル様受容体の研究者が受賞しました。
悪玉菌の除菌に使うサプリメント
↑グレープフルーツシード
以下は5RプログラムのRemove pathogens(リムーブパソジェン)に使うサプリメントの一部です。
- グレープフルーツシード
- ゴールデンシール
- オレガノオイル
- パウダルコ
- プロポリス
- カプリル酸
- ティーツリー
- ユーカリ
- タイム
- ザクロ
- キャッツクロー
- ギンネム
- エキナセア
- クルクミン
- マリーゴールド
- 亜鉛
- ゲルマニウム
- モリブデン
- ビオチン
- オリーブオイル
- アロエ
- リンゴ酢
- シナモン
- ペパーミント
- チャコール
除菌に使うサプリメントは期間限定で使用する
カンジダ菌が気になるからといって例えば「カンジダクレンズ(商品名)」とかずっと飲み続けてませんか?(当院にはそのような方が時々来院されます)
そのように、抗菌作用のあるサプリメントをずっと飲み続けてはいけません。
善玉菌も除菌されてしまい、いつまでたっても正常な腸内細菌叢にならないからです。
除菌サプリメントは期間限定で摂取するべきです。
同じような理由で、水道水(の塩素)防腐剤・保存料・酸化防止剤がたっぷりの食品を避けましょう。
悪玉菌優位の状態で鉄は摂取しない
↑鉄サプリは要注意!
鉄は悪玉菌の格好の餌なので、腸内細菌異常がある時に鉄を摂取してはいけません。
また、悪玉菌が繁殖している時は、生体防御反応として鉄の吸収をブロックするシステムが働きます。(肝臓で産生されるヘプシジンというペプチドホルモンが鉄の吸収を抑制します。)そのために病院の血液検査でもヘモグロビンや貯蔵鉄(フェリチン)が足りないと判明する事がありますが鉄は摂取してはいけません。まずは悪玉菌の除菌が先なのです。
鉄は諸刃の剣のようなものなのです。鉄はヘモグロビンのようなタンパク質と結合した「鉄タンパク質」という形態では割と大丈夫なのですが、タンパク質と結合していないフリーの鉄(遊離の鉄)は有害です。
ラクトフェリンは腸内のフリーの鉄と結合して腸管からの吸収を促進する作用があるので、悪玉菌の除菌の後に、より安全に鉄を摂取したい場合に効果的なサプリメントです。
プロバイオティクスで悪化するケースがある
プロバイオティクス良かれと思って摂取したプロバイオティクスが悪玉菌のエサとなり、余計に腸内環境を悪化させてる場合があります。
あまり知られていませんが、実はある程度腸内環境が整っている人にとっては乳酸菌やオリゴ糖は善玉菌を増やしますが、腸内環境が非常に悪化している人にとって乳酸菌やオリゴ糖は悪玉菌を増やす事があるのです。
そのような場合、除菌効果のあるサプリメントで悪玉菌を減らしてから善玉菌を補ってゆくべきでしょう。
カンジダ菌の除菌のためにプロバイオティクスを摂取して逆に症状が悪化した人の中には、それをカンジダ菌のダイオフ反応と勘違される方もいるようです。
腸内細菌が定着できる場が必要
善玉菌が増加するためには、善玉菌が定着できる場が必ず必要です。それが腸管の盃細胞が出す粘液の層です。(粘液の主成分はムチンです。)
粘液の層は外粘液層と内粘液層にわかれていて、腸内細菌が定着できるのは外粘液層です。内粘液層はムチンの密度が濃くなっているため、腸内常在細菌だけでなく病原体が定着できないようになっており、そうやって粘膜のバリアとなって保護しています。
善玉菌を増やすためには、
①プロバイオティクスやプレバイオティクスのサプリメント
②悪玉菌を除菌するサプリメント
などをよく使いますが、
③粘液層を作るサプリメント
も必要になってきます。
代表的なのがグルタミンです。グルタミンは腸粘膜の細胞のエネルギー源となり腸粘膜を修復する働きがあります。その他、私が粘膜修復に良くチョイスするのが、ビタミンA、ビタミンD3,亜鉛などです。
IgA(免疫グロブリンA)について
IgAとは抗体の一種です。細菌やウイルスなどの抗原にくっついて、そのまま排出される事で、粘膜を守っています。
IgAがダントツに多く分泌されているのは腸ですが(全身のIgAのうち80%が腸にあります)、腸だけでなく、膣や目や喉や鼻など全身のあらゆる粘膜から分泌されていて粘膜を守っています。このような粘膜の保護機能を粘膜免疫といいます。
このIgAは睡眠不足や精神的ストレスで減少します。特にストレスと関係が深いので、ストレスマーカー(ストレスの度合い)として膵液中のIgAを調べる検査もあるくらいです。
ですから、ちゃんと寝て、減らせるストレスがあれば減らすか、心理療法を受けてストレス耐性を高める事がIgAを増やし粘膜免疫を強化する事になります。
また、IgAはビタミンAとグルタミンによって増やす事ができます。
とくにグルタミンは、IgAを分泌する免疫細胞のエネルギー源となるだけでなく、粘膜の細胞のエネルギー源でもあるので粘膜を修復し強化するのにも役立ちます。
気分転換程度の適度な運動をするとIgAの分泌が増加します。逆に激しい運動をするとコルチゾールなどのストレスホルモンの分泌が多くなり、免疫機能を抑制する事がわかっています。ですから激しい運動をするアスリートなどはグルタミンの摂取が大切になってきます。
糖質摂取の注意点
カンジダ菌を増やさないためには、カンジダ菌の格好の餌となる糖質の取り過ぎに注意しなければなりません。
しかし、実は糖質完全カットの食事も要注意です。
なぜなら、カンジダ菌は栄養条件が悪くなると酵母形から病原性の強い菌糸形に変わる性質があるからです。
ですから炭水化物を極端にカットしすぎると餌が無くなるため、病原性の強い菌糸形に変化し腸粘膜を荒らしてゆきます。腸粘膜を傷つけないようにするには、甘いものや精製された糖質は摂取しないようにして、未精製の炭水化物を少量摂取する必要があります。
腸管がアルカリ性に傾くと悪玉菌が繁殖しやすい
悪玉菌はアルカリ性の環境を好みます。
通常、小腸の上部は胃酸によって酸性化されており腸内細菌は非常に少ない状態なのですが、胃酸を抑える薬を飲んでいると小腸内細菌異常増殖(SIBO)になりやすくなります。ですから胃酸の分泌が悪い人は胃酸の代わりになるサプリメントやリンゴ酢(原液では飲まない))などを摂取する必要があります。
また小腸下部から大腸は善玉菌が作り出す乳酸や酪酸(らくさん)などの短鎖脂肪酸によって酸性化されていますが、善玉菌が減少するとアルカリ性に傾き、悪玉菌が繁殖しやすくなります。
抗生物質の使用で繁殖しやすい
抗生物質のあまり効かない尿道炎や膀胱炎を繰り返す人はカンジダ菌が原因かもしれません。
抗生物質は細菌に効く薬でありカンジダ菌のような真菌には効果がないからです。抗生物質は善玉菌を死滅させカンジダ菌繁殖の原因となります。
バイオフィルムとは?
バイオフィルムとは微生物が自身が産生する粘液とともに作る膜状の構造体の事です。
身近なところでは、台所の水回りに発生するぬめりや口の中のプラークもバイオフィルムの一種です。
バイオフィルムは抗真菌薬や宿主免疫系に対してバリアのような働きをするため、まずバイオフィルムを破壊するサプリメントを使わないと本体である悪玉菌を除菌するのは難しくなります。