変形性関節症(膝、股関節、足関節、肩関節、肘関節、手関節、腰椎、頚椎)へのアプローチ


当院ではフィシオエナジェティック®によって症状の原因を調べています。フィシオエナジェティック®では、腕の長さの変化となって現れる体の反応を読み取りながら治療を進めていきます。これをARテスト(腕長反射)と言います。

※当院では医師のような病気の診断や医療行為はできません。フィシオエナジェティック®はあくまで代替療法であり、現代医学で認められていない事をご了承下さい。


変形性関節症で大事な事は変形を治す事ではなく、骨の老化・変形の進行を抑制する事と炎症体質を改善する事です。


変形性関節症によくある問題

  • インスリン抵抗性
  • 肥満、運動不足
  • 炎症体質
  • 栄養素の不足(特にカルシウム、マグネシウム、ビタミンD)
  • グルタミン酸の興奮毒性

変形性関節症で多いのは特に変形性膝関節症と変形性股関節症ですが、その他、足関節、肩、肘、手関節、手指関節、脊椎にも生じます。

変形性関節症では軟骨の磨耗がきっかけとなって関節の変形が生じていますが、多くの場合、変形しているから痛いのではありません。それは関節の変形があっても痛みを生じない人がたくさんいる事が証明しています。

ただし、手術で良くなる人もいるように変形しているから痛みが生じている人もいます。その場合は医師から手術をすすめられるでしょう。

また変形してしまった関節を若い時のように元に戻す事はできませんが、変形の進行をストップする事は充分可能でしょう。

インスリン抵抗性とAGEs(終末糖化産物)へのアプローチ

インスリン抵抗性によって骨芽細胞が減少する

インスリンが効きにくい状態の事をインスリン抵抗性といいます。インスリンには新しい骨をつくる骨芽細胞を増殖させる重要な働きがあります。なのでインスリン抵抗性があると骨芽細胞が減少し骨の老化が進みます。

インスリン抵抗性の原因

栄養素の不足
特にカルシウム、マグネシウム、ビタミンD
運動不足
運動は筋肉におけるインスリン抵抗性を改善させるのにとても効果的です。肥満が解消されなくても比較的短期間でインスリン抵抗性が改善する事もあります。
酸化ストレス(活性酸素)
酸化ストレスは活性酸素の過剰産生と活性酸素消去系の減弱が関係しています。活性酸素を消去するサプリメントを摂取しながら、飲酒喫煙を避け、ストレスが大きかったら減らす事が重要です。
慢性炎症
炎症を引き起こすTNFα(炎症性サイトカイン)はインスリン抵抗性の原因です。肥大化した脂肪細胞がTNF-αをたくさん産生するので、肥満はインスリン抵抗性の大きな原因となります。TNFαは免疫疾患でも増加しますので、その場合は免疫を正常化するアプローチが必要になります。
腸内フローラのアンバランス
善玉菌が作り出す短鎖脂肪酸(酢酸、プロピオン酸、および酪酸)にはインスリン抵抗性を改善する作用があります。短鎖脂肪酸が増加し、短鎖脂肪酸の受容体であるGPR43が活性化すると、筋肉や肝臓でのインスリンの働きがよくなります(=インスリン抵抗性が改善する)。

また、脂肪組織でのインスリン抵抗性が強くなる事によって脂肪細胞の増加を抑える事ができます。脂肪細胞からはインスリン抵抗性を悪化させる物質(TNFαや遊離脂肪酸など)が出ているので、短鎖脂肪酸によって脂肪細胞の増加を抑える事は全体としてインスリン抵抗性を改善させる事にもなります。
遊離脂肪酸
遊離脂肪酸とは脂肪細胞に蓄えられた中性脂肪が分解されて血液に放出され、エネルギー源として活用される脂肪分です。血中の遊離脂肪酸が多いとインスリン抵抗性をおこします。肥大化した脂肪細胞からは遊離脂肪酸をたくさん分泌するので、肥満の人は体脂肪率を下げる事が重要になります。

ただし、遊離脂肪酸は肥満の人だけでなく痩せていて中性脂肪が低い人でも高値になる事があります。その場合は恐らく低血糖が関係してるでしょう。低血糖になってエネルギーがなくなると、血糖の代わりに中性脂肪を分解して遊離脂肪酸を作り出し、遊離脂肪酸からエネルギーを合成しようとします。しかし、ミトコンドリア機能低下があると遊離脂肪酸からエネルギーを合成できないために、血中の遊離脂肪酸が増加します。この場合は、低血糖対策だけでなく、ミトコンドリア機能低下への対策も必要です。

AGE(糖化最終生成物)によって関節のコラーゲンが劣化する

インスリン抵抗性があると特に食後に高血糖になりやすくなりますが、高血糖の状態では糖とタンパク質が結びつく「糖化」という現象がおきます。すると、糖化によってAGE(糖化最終生成物)というものが関節に蓄積し、AGE(糖化最終生成物)によって関節のコラーゲンの劣化が起きます。

※健康診断では空腹時の血糖値とヘモグロビンA1cです。しかし問題なのは食後の高血糖です。食後の高血糖がある場合は身体が糖化によって老化してゆきます。

変形性関節症の場合、体が重いと関節に大きな負荷がかかるという理由で体重を減らすように言われる事が多いと思います。しかし実際は、肥満の人はインスリン抵抗性やAGE(糖化最終生成物)によって関節の劣化が進むからだと考えられます。

末梢性感作(末梢性疼痛過敏)と中枢性感作(中枢性疼痛過敏)へのアプローチ

末梢性感作とは、痛みがある所に出ているサプスタンスP、ヒスタミン、プロスタグランジン、ブラジキニンなどの発痛物質や末梢神経障害による抹消の問題によって痛みに過敏になっている状態です。

それに対し、中枢神経感作とは、中枢神経の問題により感覚過敏になっている状態です。抹消の痛みが長期的に続くと中枢神経感作が生じるようになり、痛みの感じ方が酷くなります。中枢神経感作にはグルタミン酸の興奮毒性が関係していいます。

グルタミン酸というのは中枢神経における興奮性の神経伝達物質で、これが正常に(適度に)働いていれば記憶や学習などの脳の高次機能システムに重要な役割を果たします。しかし過剰なグルタミン酸は中枢神経の興奮性を亢進させ、その興奮毒性により中枢神経を傷害してゆきます。

末梢神経感作に対するアプローチとしては、抗炎症作用のあるサプリメント、例えばクルクミンやオメガ3などのサプリメントを選択する事が多いです。

中枢神経感作に対してはグルタミン酸の興奮毒性に対するアプローチをします。

グルタミン酸の興奮毒性の原因

ストレス

まず考えられるのがストレスです。グルタミン酸神経の働きはストレスによって増強するからです。減らせるストレスがあれば減らしたり、心理療法を受ける事が重要になります。

GAD(グルタミン酸デカルボキシラーゼ)の活性不足

グルタミン酸はGADによってGABA(ガンマアミノ酪酸)という抑制性の神経伝達物質、つまり脳の興奮を抑え精神を安定させる物質に変わります。睡眠薬はこのGABAの働きを良くして脳の興奮を抑える働きがあります。

そのGADの酵素活性が低下すると、グルタミン酸とGABAがアンバランスになり、グルタミン酸の興奮毒性が増大します。そのGADの酵素活性を低下させる要因には以下のようなものがあります。

  • 遺伝
  • 重金属(特に水銀と鉛)
  • ウイルス
  • 抗GAD抗体(インスリン依存性糖尿病の患者に多い)

グルタミン酸受容体の過度な活性化

グルタミン酸受容体(特に重要なのがNMDA型グルタミン酸受容体)が過剰に活性化する事も興奮毒性の増大に繋がります。マグネシウムや亜鉛にはグルタミン酸受容体の活性を落ち着かせる働きがあります。

また炎症やストレスなどによってIDOという酵素が活性化すると、トリプトファンがキヌレニン経路に流れてゆきます。そして最終的にはナイアシンの活性化型であるNADに代謝されるのですが、この時にマグネシウムが不足しているとNMDA型グルタミン酸受容体を活性化する作用があるキノリン酸で代謝がストップしキノリン酸が増加します。ですから、慢性炎症やストレスのある状況下ではマグネシウムをたくさん摂取する必要があります。