PATMでお悩みの方へ


当院ではフィシオエナジェティック®によって症状の原因を調べています。フィシオエナジェティック®では、腕の長さの変化となって現れる体の反応を読み取りながら治療を進めていきます。これをARテスト(腕長反射)と言います。

※当院では医師のような病気の診断や医療行為はできません。フィシオエナジェティック®はあくまで代替療法であり、現代医学で認められていない事をご了承下さい。

焦らずゆっくり取り組もうとする気持ちが絶対に必要です

症状が酷くてPATMのせいで仕事を辞めたり、引きこりになっている方も多いのですが、そのような方でも、また仕事が出来るようになったり、普通にコミュニケーションが取れるようになったりしている方もたくさんいます。

しかしPATMは短期間では変化しません。PATMのように難しい症状ほど、ゆっくり取り組もうとする気持ちが絶対に必要です。 本人に治りたい気持ちがなくては良くなりませんが、その気持ちがあまりにも強すぎると「焦り」が出てくる事があります。焦りがあると短期間で効果を判断して来なくなったり、治療院や治療法をコロコロ変えてしまう治療院ジプシーとなってしまうでしょう。

難しい症状ほど Slow is Fast(ゆっくりやるのが結局近道)です。焦らずゆっくり私と一緒に取り組みませんか?

PATMの苦しみ

PATMでお悩みの方は次のように言われる事が多いです。

自分の体臭(あるいは無臭の刺激物質)のせいで周りの人が鼻すすり出したり、咳込み出したり、マスクをつけ始める。窓を空けられる事もある。最初は自分のせいではないと思っていたけど、自分が近くにいる時だけ急にしだすので思い込みや気のせいではない。気のせいではなく紛れもない事実。

※PATMとはPeople Allergic To Me 略で、自分の体臭・口臭・無臭の化学物質が他人に咳・くしゃみ・鼻すすりなどのアレルギー症状を引き起こす体質の事を表す言葉です。(医者は使わない言葉です)

本人が周りの反応で苦しんでいる事は紛れもない事実です。

しかしPATMで病院に行っても原因不明か異常無しが当たり前で、医師や周囲の人から理解されません。

「原因不明だから精神的なもの」「身体的には異常無いから精神的なもの」、、、西洋医学ではそのように診断するのが普通なのかもしれません。

そのように精神疾患扱いされる事で「わかってもらえない」という悲しみや絶望感、そして医師に対する怒りや不信感を感じた人も多いでしょう。

そして、原因を突き止めることに多くの時間やエネルギーを費やし、その事で以前より体調が悪化する人もいます。

私が行っているフィシオエナジェティック®では症状に囚われずにホリスティック(全人的)にみます。そして「原因不明だから精神的なもの」「身体的には異常無いから精神的なもの」という見かたはしません。

ARテストによって、身体構造、生体化学、精神心理、情報、チャクラ、サトルボディのどのセラピーが必要なのか調べて、少しずつ深く掘り下げてゆきます。

しかし、そのようにしてARテストによってPATMの方を調べてみると、PATMのほとんどの方に精神心理の問題が関係しています。しかも、PATMの症状自体が最大のストレスとなってPATMを悪化させています。

身体症状だから身体的に何か問題があるはずだと考えるのは自然だと思いますが、心理面からのアプローチも前向きに捉えていく事がPATM改善への第一歩となるでしょう。

もちろんPATMには精神心理の問題の他にも、過敏性腸症候群やリーキーガットや重金属・化学物質中毒やアレルギーなどが関係しているかもしれないので、そのような事にも目を向けてゆきます。



ARテスト(腕長反射テスト)によるPATMのセラピーの進め方

最初はARテストの反応が悪かったり正しく検査できない状態の方がいます。ですので予備テスト(プレテスト)というものを行い検査が正しくできるように調整するためのセラピーを行います。具体的には以下のような問題を予備テストし、問題が見つかれば適切なセラピーを施します。初回は予備テストだけで終わってしまう人もたまにいらっしゃいます。

  • 最初から腕の長さが揃っていない
  • 自律神経がショートしていて反応しにくい(レギュレーションブロック)
  • 本当の答えと正反対の答えが出る(スイッチング)
  • 他の部位とのコミュニケーションが悪くその部分が孤立している(アイソレーション)
  • 大きすぎる問題がバラバラになって隠れている(セグメンテーション)
  • アイデンティティ(自我同一性)の問題があるため本人の反応が出てこない
  • 顕在意識では治りたいと思っていても無意識では抵抗している(心理的逆転)

これらの予備テストを行い、問題が見つかればそれを解決した後に、PATMに関係ありそうな事を検査してゆきます。

(1)本人が臭いを自覚できるのであれば、その臭いに意識を向けた時のARテストの反応を元に解決法を探ってゆく事が可能です。

(2)臭いではなく化学物質が放出して周りに反応させているという人は、化学物質が自分の身体から放出している身体感覚、例えば身体が熱くなるとか、何かが分泌しているような身体感覚などを自覚できるのであれば、その身体感覚に意識を向けた時のARテストの反応を元に解決法を探ってゆく事が可能です。

ただし、自分からどんな臭いがしているのか? あるいは、自分からどんな化学物質が放出しているのか? そこまではARテストで特定できません。

1と2の方法で調べてみると、精神心理の問題(心理療法が必要)と生体化学の問題(栄養療法が必要)はほとんどのパトムの方に関係しています。その他に、チャクラやサトルボディや情報(身体内の情報伝達系)の問題が関係している人もいます。

また、臭いを自覚できなかったり、化学物質が放出している身体感覚が分からないために、1と2の方法で調べる事ができない人もいますが、それでも大丈夫です。全く問題ありません。ARテストによって精神心理の問題や生体化学の問題などを調べて、それらを解決してゆけば良いからです。

まず最初の段階で取り組むのは、心理療法では、ストレスのない状態ではしっかり落ち着く事ができるようにする事です。栄養療法では基本的な事、例えば、水分と電解質の補給(細胞の健全な働きに必須)、酸化ストレス対策、解毒、細胞膜の修復、炎症、ミトコンドリアの活性化、リーキーガット、腸内細菌など腸内環境の改善、消化を良くする(胃酸・消化酵素・胆汁などの分泌)など解決する事です。

それができてから、心理療法では、周りが反応している時でもしっかり落ち着く事ができるように変化させてゆきます。栄養療法ではメチル化対策に取り組みます。メチル化はストレス耐性の向上に深く関係していているので、ほぼ全てのパトムの方が取り組むべき課題です。

栄養療法の基本的な事に取り組む過程で、臭いや化学物質に直接関係ありそうな反応、例えば、カンジダ、リーキーガット、腸内細菌異常、アンモニア、硫化水素、化学物質中毒などの反応が出る場合もあります。しかし、それらが改善したとしてもPATMの症状は何も変化がない事がほとんどです。何故なら、精神心理の問題がパトムに非常に大きく関係しているからです。

また過敏性腸症候群ガス型(IBSガス型)がパトムの原因だと思われている方もいますが、過敏性腸症候群の最大の原因は精神的ストレスです。また、周りの反応が気になる事がストレスとなって過敏性腸症候群を悪化させる事により、さらに周りの反応が気になってしまうという悪循環に陥ってしまいます。ですから心理面からのアプローチも前向きに捉えていく事がこの悪循環を断ち切るために必要です。


PATM(パトム)をホリスティックにアプローチするとは?

ホリスティックというのは、全体とかつながりとかバランスなどの意味を含んでいる言葉ですが、つまり「病気や症状だけに囚われずに、ちゃんと人を見る」ということです。別の言い方をすると「部分だけを見ずに全体を見る」という事です。

で、どのようにしてホリスティックにアプローチできるかというと、私が行っているフィシオエナジェティック®では、多種多様なセラピーを大まかに4つ(あるいは6つ)の分野に分類し、クライアントに応じて必要なセラピーをセラピストが選択し、そしてセラピーを施します。

その4つの分野とは、

1)身体構造、これはカイロプラクティックとかオステオパシーなどのテクニックを用いて体の構造にアプローチする方法です。

2)生体化学、これはケミカルな問題をサプリメントや食事などでアプローチする方法です。

3)精神心理。心理療法などを行います。

4)情報。これは東洋医学の経絡だとか、体の中の健全なエネルギーの流れを遮断する瘢痕や、電磁波、ジオパシックストレスなどに対するセラピーがこの分野に含まれます。

ここまで説明してきたように、全体とかつながりとかバランスを大切にして、ちゃんと人を見るという事がとても大切なのですが、パトムの方が自分で考えている原因はとても偏っています。

例えば、腸内細菌異常、リーキーガット、カンジダやピロリ菌、化学物質の解毒ができていなとか、ピロルリア、アンモニアや硫化水素、魚臭症など、パトムの方はこういうのが原因なのではと考える方が多いと思いますが、どれも生体化学の分野の問題ばかりで、サプリメントや食事で何とか改善できるんじゃないかと考えているんです。

もちろん私は、これらが全く関係ないと言っているのではありません。関係ある人もいます。ですが、パトムに直接関係ありそうな問題しか見えていなくて、全体を見ないようにしている人が多いのです。そして、ちっとも良くならなくて途方にくれてしまう最大の原因は生体化学の問題にしか注目せず、他の分野、特に精神心理の問題に向き合おうとしない事です。


PATM(パトム)でお悩みの方のための栄養療法

PATMでお悩みの方が推測あるいは自己判断している原因があると思います。例えば、腸内細菌異常、リーキーガット、カンジダ、肉食、タンパク質のとりすぎ、化学物質の解毒ができていなとか、ピロルリア、アンモニアや硫化水素、魚臭症などでしょうか。

まずこれらについて私の見解を述べて、後半で私が行っているパトムの方のための栄養療法について説明したいと思います。

1)腸内細菌異常、カンジダ、リーキーガットについて

これらの問題は栄養療法において基本中の基本です。腸内環境が悪玉菌優勢になると確かに臭いがする事があります。

私のところに来院された方で、一番凄かった人は、私の目に突き刺すような刺激を感じるもの凄い体臭がの方がいて、その方が部屋から居なくなってから5分間くらい換気しないと部屋に臭いが残る方がいました。その方は、カンジダの除菌を始めとする腸内環境の改善によって、あくまで私の嗅覚では臭いは全く感じられなくなりました。ただし、そのように強烈な体臭の方は、過去にその方一人だけです。その人ほど酷くないけど、近くにいると体臭がわかる程度くらいの方は、たまに来院されますが全員、腸内環境に問題がありました。ただし、腸内環境の問題はPATMに限らずかなり多くの方にあって、腸内環境が悪いからきっと自分はPATMだとは決して言えないのです。

腸内環境の改善のためには、悪玉菌やカンジダの除菌のためにハーブサプリメントを使用する事をアドバイスする事が多いのですが、こういった除菌サプリは善玉菌も減らしてしまうので、期間限定で使用する事が大切です。PATMでお悩みの方は、こういった除菌サプリをかなり長期間飲んでいる方が時々いらっしゃるのですが、善玉菌が減少し、かわりにそのサプリに耐性のある悪玉菌が増える可能性があるので逆効果です。また除菌サプリを使わなくても、善玉菌を増やすサプリメントだけで悪玉菌やカンジダの除菌ができる場合もあるので、可能ならそのような方法をとります。私の場合、第一候補としてプレバイオティクス、つまりフラクトオリゴ糖やイヌリンなどの善玉菌の餌になるものから選びます。プレバイオティクスの中に効果的なものがない場合は、プロバイオティクスを使いますが、ロイテリやアシドフィルスを選択する事が多いかなと思います。

また、IgAという免疫が減少していたり、胃酸や胆汁の分泌が悪いと除菌してもまたすぐにカンジダや悪玉菌が増加してきます。IgAという免疫を増やすには、健全な腸粘膜が必要なのでリーキーガットの治療がIgAを増やすことにも繋がります。そのためにはグルタミンというアミノ酸サプリやビタミンAなどをアドバイスする事が多いです。またストレスによってIgAは減少するので精神心理の問題に取り組む必要性もあるかもしれません。

胆汁の分泌にはホスファチジルコリンや胆汁酸などのサプリメントが必要な人もいます。胃酸の分泌不足はベタインHCLという置き換え可能のサプリメントを使うのも良いのですが、多くの場合ストレスによって胃酸の分泌が悪くなるので、やはり精神心理の問題に取り組む必要性があるのかもしれません。

2)過敏性腸症候群ガス型(IBSガス型)、ガス漏れ(おならが漏れている)

これらを腸内環境の問題と考えて、サプリメントや食事で何とか改善しようと思っているPATMの方がいらっしゃいます。しかし、これらは腸内環境の問題というより精神的要素が非常に大きいのでサプリメントや食事ではなかなか改善できないでしょう。自分の精神心理の問題に向き合う事をしないで改善は難しいと思います。

3)肉食やタンパク質の取りすぎ、アンモニアや硫化水素について

肉を食べると腸内環境が悪化し体臭がすると心配されている方もけっこういると思いますが、たしかに、肉によって腸内環境が悪化する可能性はあります。しかし、それは、肉というより赤身の肉に含まれている鉄が悪玉菌の格好の餌となるからです。鉄は善玉菌にも必要なミネラルなのですが、善玉菌より悪玉菌のほうが需要が高く、悪玉菌優勢の腸内環境で鉄の摂取を増やすと善玉菌より悪玉菌が増えてしまうからです。赤身の肉に含まれる鉄も必須ミネラルなので特に閉経前の女性などは摂取する必要があるのですが、まず先に腸内環境を良くしておく事が大切です。また鶏肉など白身の肉は鉄分が少ないので赤みの肉ほど腸内環境を悪化させません。

それから、タンパク質をとりすぎると体臭がすると心配されている方がいますが、その事についてもお話したいと思います。まず過剰なタンパク質はたしかに臭い物質であるアンモニアや硫化水素を酸性してしまいます。これはメチル化サイクルの中でホモシステインがシステインに代謝される過程でできるのですが、アンモニアは尿素サイクルにおいてアルギニンになりそれが血流を良くするのに欠かせない一酸化窒素を作り出します。また硫化水素は毒ガスとして有名な化学物質ですが、ごく微量の硫化水素は血流を良くする働きがあり、どちらもある程度は必要です。

おそらくタンパク質が過剰というより、タンパク質が不足している人が多いです。しかも、大抵の人はある程度タンパク質をとってもアンモニアや硫化水素が過剰になる心配なんていりません。しかし、肝臓病などがあって高タンパク食にしてはいけない人や、アンモニアが代謝できない人もたしかにいます。そのような人は、亜鉛やアセチルLカルニチンがアンモニアの代謝を良くするのに効果的かもしれません。また、悪玉菌の中にもアンモニアを作り出す菌がいるので、特にビフィズス菌を増やすサプリメント、例えばラクチュロースなどが有効な場合もあります。

4)化学物質の解毒について

PATMでお悩みの方の中には解毒できない化学物質が皮膚ガスとして放出されて周囲の人を反応させると思っている方がいます。私がフィシオエナジェティックの方法でPATMの人を調べてみるとたしかに化学物質の解毒ができていない人は多いですね。でも、それはPATMでお悩みの方に限らずかなり多くの方にあります。そして化学物質の解毒低下は自律神経や内分泌系の異常の原因となっています。化学物質がPATMの原因か否かという結論は横においといて、とにかく解毒ができる体質にする必要があるでしょう。

化学物質の解毒には、病院で行われているようなキレート剤を使った強制的な解毒ではなく、肝臓の自然な解毒システムをサポートするようなサプリメントや食事が必要になります。また、胆汁の分泌や便の排泄を促す事も解毒には重要です。私がよく選択するのは、亜鉛、Nアセチルシステイン、プロテイン、モリブデン、ホスファチジルコリン、イヌリンなどです。

5)魚臭症について

私が行っているのはあくまで代替療法の検査方法なので医学的診断ではないのですが、魚臭症の原因物質であるトリメチルアミンに反応した人は今までいません。そもそも魚臭症という病気は非常に珍しい病気なので、そのような人が当院にくるとは考えにくいです。

6)ピロールについて

ピロールの問題は、ピロールが亜鉛とビタミンB6を枯渇させる事により肉体と精神に様々な悪影響を与える事です。ピロールの反応は私の検査方法でもたしかに反応する事がありますが、反応したとしても亜鉛とビタミンB6でOKになります。

栄養療法の基本的な事を最初に行う事が大切

ここまで、みなさんが推測しているPATMの原因について見解を述べてきましたが、PATMでお悩みの方へ栄養療法を行うにあたり大切な事は、PATMに関係ありそうな問題だけに囚われず栄養療法の基本的な事から始めるという事です。

それは、腸内細菌異常、リーキーガット、重金属、胃酸・消化酵素・胆汁の分泌不足、活性酸素、脱水や電解質不足、細胞膜やミトコンドリア機能低下、ヒスタミン不耐性などです。これらの問題は何らかの不調を抱えて私の所にくる人にはよくある問題なのです。

このような栄養療法の基本的な事から取り組みはじめ、問題がクリアになってからメチル化とういう問題に取り組みはじめます。メチル化とは、一般の方にメチル化を説明するのすごく難しいのですが、メチル化とは神経伝達物質の量を決めたり、神経細胞の発達や、細胞内のヒスタミンの分解やエストロゲンの分解、それから遺伝的な問題の発現にも関係しています。メチル化にアプローチすることで細胞の状態が良くなったり、神経系が落ち着きやすくなります。メチル化の問題は栄養療法の基本的な事をするだけでも改善する事がとても多いので、まずは基本から取り組む必要があるのです。

メチル化は、ヒスタミンの症状や精神症状やPMSなど他の多くの疾患にも関係していますが、PATMにも大きく関係していると私は考えています。

例えば、パトムの人は神経系が落ち着きにくい人が多いのですが、それもメチル化が関係しています。メチル化が低下している状態では、ドーパミンやセロトニンなどの神経伝達物質の再吸収が過剰になるため、シナプス間隙における神経伝達物質が少なくなるため、不安が強くなりがちで、気になっている事に囚われすぎたり、いつまで考えすぎたりして精神的に消耗しやすくなります。そして、それがPATMを悪化させる原因となります。

また、PATMの方は、保存食などヒスタミンを多く含む食品やストレスや生理前のエストロゲンの多い時期に体調が悪化する人が多いと思いますが、それもメチル化が関係しています。

ではどのようにしてメチル化にアプローチするのでしょう?

メチル化に必要な事は、食事中のタンパク質から取り入れたメチオニンが、メチオニン→SAMe→SAH→ホモシステイン→メチオニンと代謝しながらサイクルしていく事です。このサイクルの事をメチル化サイクル、あるいはメチレーションサイクルといいます。メチル化とは、このサイクルの途中にあるSAMeに含まれるメチル基を使った化学反応です。

このメチル化サイクルを順調に回転させるために必要な栄養素は、メチオニン、亜鉛、ビタミンB12またはメチルコバラミン、食事性の葉酸またはメチルコバラミン、ベタイン(=トリメチルグリシン)、ビタミンB6などです。しかし、これを聞いて、これらのサプリメントを全部とればいいかだなと勘違いしないで下さい。我々には個体差というものがあり、人によって必要なサプリメントは違ってきますので、一人ひとりちゃんと調べて、オーダーメイドなアドバイスが必要になります。ちなみに私の場合はフィシオエナジェティックのARテストでその人に必要なサプリメントを選んでいます。

また、メチル化サイクルを阻害するものとして活性酸素、炎症、重金属(特に水銀)、アセトアルデヒド(これはカンジダが作り出したりやお酒が代謝されたものですね)、高タンパクあるいは低たんぱくなどです。この他に、高用量のナイアシンや、コーヒーやお茶のポリフェノールの取りすぎもメチル化反応を阻害します。

栄養療法を始めた時の悪い反応

食事やサプリメントのアドバイスをそても、アドバイスした食事やサプリメントのせいでPATMが酷くなったと言う方がたまにいます。私は、このような事はPATMの人には特に多いように感じています。

もちろん、私のアドバイスが間違っていた可能性もあるのですが、そのような人がなぜPATMに特に多いのかというと、おそらく、PATMの人は普段から食事やサプリメントについて注意深くなりすぎている人が多いからだと思います。そして、もしその注意深さに強い不安が伴ってしまうと、何かちょっとでも体調が悪い時に、全て直前に食べたものや摂取したサプリメントの中から原因探しをしてしまいます。そのため、食品やサプリメントによって悪化してしまう事が多いのかなと思います。そのような方々は、心理面のケアが不得意な栄養療法のクリニックで匙を投げられたり、怒られたりする方もいらっしゃるようです。

では、このような方々はどのようにすれば良いのでしょう? 

私の場合は、飲むのが不安なサプリメントや新しい食事法は一旦中止して、サプリメントの追加や食事を変える時に生じる恐怖や不安感などに対して心理療法を行ったりします。

そして、今の食事は無理に今すぐ変える必要はありません。そして食事を変える時は、今までの食事を一気にガラッと変えるのではなく、小さく、ゆっくりと変えるようにするとうまくいく事があります。なぜなら、なぜかというと、私達の自律神経系は大きな変化をとても嫌うからです。私達の自律神経系は例え良い刺激であっても、急に大きく変わるとビックリして、不都合ながらも慣れ親しんだ元の状態に戻ろうとする性質があるのです。


PATM(パトム)でお悩みの方のための心理療法

まずパトムでお悩みの方の中には心理療法なんて必要性ないと思っている方が多いと思います。そんな方達の中には、「たしかにストレスはあるけど、パトムが治ればストレスも無くなるんだから心理療法なんて必要ない」と考えている人もいるでしょう。

しかし、パトムでお悩みの方は、パトムのストレスがパトムをさらに悪化させるという負のスパイラルが生じています。そして、この負のスパイラルを断ち切るためには、自己の心理面にもしっかり向かい合う必要があります。

みなさんが考えているようにパトムには栄養療法もとても大切なんですが、栄養療法だけで良くなるなんてかなり難しいでしょう。ですから心理面からのアプローチも前向きに捉えてください。それがPATM改善への第一歩となります。

パトムの人の自律神経

パトムの人は、ストレスらしいストレスが何にも無い状況であっても自律神経が落ち着いていません。なのに、落ち着いていないという事を自覚できていない人はとても多いです。

そのような人達に対して私が提案している事は、自分の身体感覚に意識を向けてみる事です。すると、呼吸が落ち着いていない、胸がドキドキする、肩が緊張している、手がソワソワするなどの落ち着かない身体感覚がある事に気付くでしょう。あるいは、自分の身体感覚がわからず、自分が落ち着いているのか落ち着いていないのかがわからないという人もいますが、実は、そのような方は落ち着いていないんです。そのような方は落ち着かない感覚を麻痺させる事でなんとか日常を乗り切ろうとしている状態なんですね。

なので、心理療法を始めた頃は、まずストレスのない状態ではしっかり落ち着いた状態を感じられるようにする事を目指します。ちなみに、自律神経がしっかり落ち着いていて好奇心旺盛になっている状態をマインドフルネスとか「今ここ」とが言うんですが、「今ここ」をしっかり感じられるようになるには、早い人で1~3回位ですけども、遅い人は10回以上かかる事があります。

また、パトムの人の中にはあまりにもストレスが大きすぎてメンタルヘルスが非常に悪化している人もいます。例えばいつも「死にたい」とか考えているような方ですね。そのような人達は、休職や休学をしたりして嫌な人や嫌な場所を避ける事が真っ先に必要です。

メンタルヘルスをどんどん悪化させてしまう反芻思考

反芻思考とは、思考が止められなくなって、繰り返しずっと考えてしまう事です。いわば思考中毒の状態です。

私達は悩みや苦しみがある時に「なぜ?」「どうして?」「何が原因?」等とあれこれ思考し自分自身に説明して納得したがる傾向があります。原因探しに夢中になって一晩中ネットで情報収集する人もいるでしょう。 しかし、落ち着いていない状態であれこれ思考すると、その思考が逆に火に油を注ぐ結果となり、ますます落ち着かなくなってしまうのです。しかも、落ち着いていない時はマトモな思考が難しくなるので、事実とは違う「思い込み」をしやすいし、ネガティブな考え方をしやすくなります。

ですから落ち着いていない時はあれこれ思考するやめて、落ち着いて「今ここ」を感じる事に専念しましょう。もしどうしても考えて解決しなければならない事があれば、その事を落ち着いて考えられるようになるまで問題解決を一旦棚上げにして、まず落ち着くという事に専念する必要があります。

ただし、問題を棚上げにして思考を止めようと思っても、どうしても思考を止められない人もいます。というか最初は思考を止められない人が多いですね。ですけど、それでも私のところに繰り返し来て「今ここ」を感じる体験を繰り返しているうちに、次第に思考を止められるように変化すると思います。また、もし可能ならば、体を動かしたり、自然を感じたりして気分転換が上手にできるようになってくると良いでしょう。

パトムの人のトラウマ

トラウマというと、フラッシュバックやパニックなどを引き起こすような過去の衝撃的な出来事の事だと思っている方もいますが、そうではありません。トラウマというのは「自律神経の癖」のようなものです。例えば、人と話す時に緊張するとか、どんな場所にいても落ち着けないというのもトラウマが関係しています。

「私にはトラウマなんてありません!」と言われる方がたまにいますが、実はトラウマが無い人なんていないんです。どんな人にでも解決されていないトラウマがあります。

例えば、パトムの人は以下のような状況で自分の自律神経が乱れます。これらの状況はトラウマ反応を誘発するトリガー(引き金)なんです。そしてトリガーが引かれると「呼吸が浅くなる」「胸がドキドキする」と「肩まわりの筋肉が緊張する」「上半身がカーっと熱くなる」などの様々な落ち着かない身体感覚が出てきます。

  • 人が近くにいる
  • 誰かに見られている
  • 電車のように人がいっぱいいて密閉された空間にいる
  • 電車などで自分の近くから人が離れていく
  • 鼻をすすっている人や咳をしている人がいる
  • 誰かが「臭い」という単語を使った
  • 同じ部屋にいる人が「この部屋暑いね」と言った
  • 同じ部屋にいる人が窓をあけて換気しはじめた

これらの顕在化したトラウマにしっかり取り組むだけでもパトムが随分良くなる人もいるんですが、もっと深いところに隠れているトラウマにも取り組まないと駄目な人もいます。その深い所に隠れているトラウマとはどんなトラウマなのか、いくつか例をあげると

  • 子供の時に臭いと言われて仲間はずれにされていた
  • 授業中におならをしてしまって学校に行けなくなった
  • 親がとても怖くて、いつも親の顔色を伺ってビクビクしていた
  • 親から否定ばかりされて、褒められたり肯定されたりした事がなかった

このような深いところに隠れているトラウマが、近くに人がいるだけで落ち着かなくなったり、常に人の顔色を伺うようになってしまったり、自分が嫌われているんじゃないかと思ってしまったり、自分は迷惑をかけているという罪悪感が湧き上がってくる原因となるんですね。

また、深いところに隠れているトラウマの多くは子供の時に形成される事が多いのでインナーチャイルドとだいたい同じであるとも言えますが、大人になってから形成させるトラウマもあるので、インナーチャイルドと完全にイコールではありません。

割りと多くの方が、深いところに隠れているトラウマに取り組まなくても自律神経がかなり落ち着いてほとんど良くなったと感じられる方もいます。ですけど、だいぶ良くなったけど完全には良くならなっていない人には、一番最後に深いところに隠れているトラウマに取り組む必要があるかもしれません。

このように、トラウマに取り組むには順序というものがとても大切で、いきなり大きなトラウマに取り組む事は絶対にしてはいけません。もしなんの準備もせず、いきなり大きなトラウマに取り組むと、トラウマの大きなエネルギーに圧倒されてしまって、トラウマ記憶をさらに強化してしまう再トラウマ化という現象がおこり悪化する事が多いからです。

ですから、まず最初に取り組むのはストレスのない状態ではしっかり落ち着いた状態を感じられるようにする事で、それができたら次に表面化しているトラウマに取り組み始め、一番最後に深い所に隠れているトラウマに取り組むようにしなければなりません。

身体感覚にアプローチする方法

身体感覚は感情や思考と密接に繋がっています。自分のトラウマが刺激されると落ち着かない身体感覚が出現し、その身体感覚がネガティブな感情を生み出し、そのネガティブな感情がネガティブな思考や認知を生み出すという連鎖反応になっているんです。

例えば、鼻をすすっている人がいるとそれがトラウマの引き金となり、「呼吸が浅くなる」「胸がドキドキする」と「肩まわりの筋肉が緊張する」「上半身がカーっと熱くなる」などの様々な落ち着かない身体感覚が出てくるんです。そして、その落ち着かない身体感覚が連鎖反応的にネガティブな感情を生み、ネガティブな感情がネガティブな思考を生み出しているんです。つまり、この図のように、身体感覚、感情、思考という流れになっているんです。

さて、ではどのようにして身体感覚をつかってトラウマにアプローチするのでしょう?

基本的には、トラウマを刺激してその時のトラウマの身体感覚に好奇心を向けるという事を行います。ただし安全にそして効果的に行うために、トラウマを大きく刺激せず小さく刺激します。それからトラウマの身体感覚だけに意識を釘付けにするのではなく、同時に安心・安全を感じられるものにも意識を向けるという事もとても重要です。このようにする事でトラウマを安心安全で包み込む事ができ、トラウマ記憶をただの過去の記憶へと変化させる事ができます。