PMS(月経前症候群)やPMDD(月経前不快気分障害)に対するアプローチ


当院ではフィシオエナジェティック®によって症状の原因を調べています。フィシオエナジェティック®では、腕の長さの変化となって現れる体の反応を読み取りながら治療を進めていきます。これをARテスト(腕長反射)と言います。

※当院では医師のような病気の診断や医療行為はできません。フィシオエナジェティック®はあくまで代替療法であり、現代医学で認められていない事をご了承下さい。


イライラ、抑うつ、不安、睡眠障害、倦怠感、頭痛、腰痛、むくみ、お腹の張り、乳房の張り・・・

PMSとは、このような様々な精神症状や身体症状が月経がはじまる3~10日前から現れ、月経が始まると軽快・消失する事を毎回繰り返す疾患です。PMSの諸症状のうち特に精神症状が酷い場合はPMDD(月経前不快気分障害)といいます。

PMSの原因はあまり解明されていません。しかし、インスリン抵抗性やセロトニンの低下、レニン・アンジオテンシン・アルドステロン系の賦活などが関係している事がある程度わかっています。なので、そのあたりに対してアプローチすれば良いのではないかと私は考えています。

PMSの人によくある問題

  • インスリン抵抗性
  • セロトニン低下
  • レニン・アンジオテンシン・アルドステロン系の賦活
  • ストレス
  • カルシウム、マグネシウム、ビタミンDの不足
  • 活性酸素
  • 運動不足

 

インスリン抵抗性とセロトニンの低下について

月経前にはプロゲステロン(黄体ホルモン)の働きによりインスリン抵抗性が強くなります。そのため血糖値が安定せず、血糖値が乱高下したり、低血糖になりやすくなります。

※インスリン抵抗性とはインスリンの効きが悪くなる事です。

そして、血糖値が安定していない時の症状が出ます。例えば、異常な眠気、甘い物を異常に食べたくなるなどの食欲異常、倦怠感などのエネルギー不足症状、抑うつ、イライラ、不安などの精神症状など。

また脳内のセロトニンは、前駆物質である血中のトリプトファンが脳内に取り込まれる必要がありますが、そのためにはインスリンの働きが必要です。なのでプロゲステロンによりインスリンの効きが悪くなると脳内のセロトニンが低下し精神症状が出やすくなります。

なので、おそらくですが、普段からインスリン抵抗性を改善するような事をしておくと、PMSの症状を軽減できるはずです。

インスリン抵抗性の原因と対策について以下に書いておきます。

インスリン抵抗性の原因

栄養素の不足
特にカルシウム、マグネシウム、ビタミンD。
運動不足
運動は筋肉におけるインスリン抵抗性を改善させるのにとても効果的です。肥満が解消されなくても比較的短期間でインスリン抵抗性が改善する事もあります。
酸化ストレス(活性酸素)
酸化ストレスは活性酸素の過剰産生と活性酸素消去系の減弱が関係しています。活性酸素を消去するサプリメントを摂取しながら、飲酒喫煙を避け、ストレスが大きかったら減らす事が重要です。
腸内フローラのアンバランス
善玉菌が作り出す短鎖脂肪酸(酢酸、プロピオン酸、および酪酸)にはインスリン抵抗性を改善する作用があります。短鎖脂肪酸が増加し、短鎖脂肪酸の受容体であるGPR43が活性化すると、筋肉や肝臓でのインスリンの働きがよくなります(=インスリン抵抗性が改善する)。

また、脂肪組織でのインスリン抵抗性が強くなる事によって脂肪細胞の増加を抑える事ができます。脂肪細胞からはインスリン抵抗性を悪化させる物質(TNFαや遊離脂肪酸など)が出ているので、短鎖脂肪酸によって脂肪細胞の増加を抑える事は全体としてインスリン抵抗性を改善させる事にもなります。
慢性炎症
炎症を引き起こすTNFα(炎症性サイトカイン)はインスリン抵抗性の原因です。肥大化した脂肪細胞がTNF-αをたくさん産生するので、肥満はインスリン抵抗性の大きな原因となります。TNFαは免疫疾患でも増加しますので、その場合は免疫を正常化するアプローチが必要になります。
遊離脂肪酸
遊離脂肪酸とは脂肪細胞に蓄えられた中性脂肪が分解されて血液に放出され、エネルギー源として活用される脂肪分です。血中の遊離脂肪酸が多いとインスリン抵抗性をおこします。肥大化した脂肪細胞からは遊離脂肪酸をたくさん分泌するので、肥満の人は体脂肪率を下げる事が重要になります。

ただし、遊離脂肪酸は肥満の人だけでなく痩せていて中性脂肪が低い人でも高値になる事があります。その場合は恐らく低血糖が関係してるでしょう。低血糖になってエネルギーがなくなると、血糖の代わりに中性脂肪を分解して遊離脂肪酸を作り出し、遊離脂肪酸からエネルギーを合成しようとします。しかし、ミトコンドリア機能低下があると遊離脂肪酸からエネルギーを合成できないために、血中の遊離脂肪酸が増加します。この場合は、低血糖対策だけでなく、ミトコンドリア機能低下への対策も必要です。

 

銅過剰について

神経伝達物質のドーパミンを代謝してノルアドレナリンに変えるのはDBH(ドーパミンβヒドロキシラーゼ)という酵素です。そしてこの酵素の補因子が必須ミネラルの銅です。

ですからもし体内に銅が過剰に存在すると、ドーパミンからノルアドレナリンへの変換が促進されすぎてしまいます。その結果、ドーパミンが不足しノルアドレナリンが過剰になります。そして、鬱やイライラや反抗挑発症などの症状が出やすくなります。

女性ホルモン(エストロゲン)は体内の銅を増加させる作用があるので、生理前や妊娠中に体内の銅が増加します。そして、PMS(月経前症候群)における情緒不安定の原因となります。産後に体内の銅レベルが自然に低下して元に戻るのですが、銅の排泄が苦手な体質の人は産後鬱になりやすいという見解もあります。

私の場合、銅過剰とその対策をARテスト(キネシオロジーテストの一種)でチェックしていますが、PMSの時のイライラが落ち込みが非常に強い女性は銅過剰が関係している事がとても多いように思います。

銅が過剰な場合の対策として、銅の拮抗ミネラルである亜鉛、モリブデン、マンガンをサプリメントで摂取する事が有効です。この中でも特に亜鉛がファーストチョイスとなります。その他、慢性炎症も体内の銅が増加する原因となるので、慢性炎症の対策も重要になります。

レニン・アンジオテンシン・アルドステロン系の賦活について

レニン・アンジオテンシン・アルドステロン系とは血圧を上昇させるために水分と塩分を溜め込ませるメカニズムの事です。

プロゲステロンには、インスリン抵抗性を高めるだけでなく、レニン・アンジオテンシン・アルドステロン系を賦活(活性化)させる働きもあります。ですから身体がむくみます。

そして、身体がむくんだ症状が、乳房の痛み、頭頭、腰痛、体全体のだるさ、でもあるのです。

なので、おそらくですが、普段からレニン・アンジオテンシン・アルドステロン系の賦活を改善する事をしておくと、PMSの症状を軽減できるはずです。

ではレニン・アンジオテンシン・アルドステロン系の賦活を防ぐにはどうしたらよいのでしょうか?

まず簡単にできる事は、水を飲む事です。

なぜなら、水分が足りないと、身体に水分を溜め込めんで水分の損失を防ごうとする作用が増加します。浮腫んでいるからといって水分摂取を制限すると逆効果になります。

次に、減らせるストレスがあったら減らす事と心理療法を受ける事です。

レニン・アンジオテンシン・アルドステロン系は精神的ストレスにとても密接に関係していて、ストレスを感じた時にはレニン・アンジオテンシン・アルドステロン系が賦活し、血圧を上昇させてストレスに対抗しようとします。

※私の心理療法のやり方についてこちらのページで詳しく解説しています。