慢性疲労症候群や副腎疲労症候群に対する当院のアプローチ


当院ではフィシオエナジェティック®によって症状の原因を調べています。フィシオエナジェティック®では、腕の長さの変化となって現れる体の反応を読み取りながら治療を進めていきます。これをARテスト(腕長反射)と言います。

※当院では医師のような病気の診断や医療行為はできません。フィシオエナジェティック®はあくまで代替療法であり、現代医学で認められていない事をご了承下さい。


※ハンス・セリエの画像はWikipediaより

副腎疲労のレベル(深刻度)

以下の3段階あります。

まず上記のどの段階にあるのか確認し、次にそれぞれの段階に必要なサプリメントやその他の対処法などを調べる必要があります。しかし、副腎疲労や慢性疲労を訴えて当院に来るの方のほとんどがフェーズ3の「疲弊期」です。

コレステロールの不足が原因の1つ

コレステロールを材料としてできるホルモンを「ステロイドホルモン」といいます。

コルチゾールやDHEAなどの副腎のホルモンや性ホルモンのエストロゲンやプロゲステロンなどもステロイドホルモンに分類されます。

コレステロールというと脂質異常症の原因としてよく問題になりますが、実は不足して問題になっている人も多いのです。

私達は、食事由来のコレステロールを200~300mg程度摂取していてますが、実はそれだけでは全く足りないので、その何倍ものコレステロールを肝臓で合成しています。

食事由来のコレステロールが多い時はコレステロールの合成を少なくし、逆に食事由来のコレステロールが少ない時はコレステロールの合成を多くして調節するメカニズムがあります。

ですから、コレステロール不足の人は、食事からのコレステロール摂取が足りないと言うよりも、肝臓におけるコレステロール合成量が低下しているのです。

次にコレステロール合成が低下する原因について説明します。

まず、コレステロールの材料はアセチルCoAです。そのアセチルCoAからコレステロールに変換する律速酵素(鍵となる酵素)がHMG-CoA還元酵素です。

※ちなみにHMG-CoA還元酵素を阻害する薬がコレステロールを下げる薬(スタチン)です。コレステロールは、ステロイドホルモンだけでなく、コエンザイムQ10やビタミンD3も合成されますので、スタチンを使うとコエンザイムQ10やビタミンD3も足りなくなるのでサプリメントで補う必要があります。

そして、この酵素にはナイアシンの活性化型であるNADやNADPが必要です。そしてそれが不足しているとコレステロール合成が低下します。

そのナイアシンですが、日本人の場合、食べ物から直接摂取しているのが半分で、残りの半分はトリプトファンというアミノ酸からビタミンB6やマグネシウムを使って合成しています。(その合成経路をキヌレニン経路といいます)

ですから、ビタミンB6やマグネシウム、ナイアシンの不足によってコレステロール合成が低下している可能性があります。

またアセチルCoAが不足しているためにコレステロールを合成できないケースもあります。アセチルCoAのCoA(コエンザイムえーといいます)の材料となるのがパントテン酸です。またアセチルCoAはピルビン酸を材料に合成されますが、その時にピルビン酸デヒドロゲナーゼ複合体(PDC)という酵素が必要です。その酵素に必要なのがビタミンB1、ビタミンB2やナイアシン、アルファリポ酸などです。

参考までに、現在の日本では、総コレステロールは120~199mg/dlが適正域で、200~219mg/dlが境界域、220mg/dl以上が高コレステロール血症という基準があります。

しかし、分子栄養学では少なくとも180ml/dl、できれば200ml/dl程度あったほうが良いとされています。

コレステロールから副腎ホルモンへ変換する酵素の活性低下

コレステロールをステロイドホルモンに変換するのはCYP450(シトクロームP450)という酵素です。この酵素活性が低下しているとコレステロールをステロイドホルモンに変換できなくなります。

CYP450には鉄を含んだ分子であるヘムが絶対必要です。なのでヘムが不足していると酵素活性が低下します。

ビタミンCはヘムを分解するヘムオキシゲナーゼという酵素の働きを抑制するため副腎疲労によく使うサプリメントの1つです。

副腎疲労の場合、かなり多めの1,500~3,000mg摂取すると有効な事が多いようです。

その他、CYP450を活性化させるにはマグネシウム、亜鉛、銅などが有効です。

そして重要なのがヘムの材料でもある鉄です。しかしヘムを増やすために鉄を摂取すればいいのかというと、そんなに単純ではありません。

まず、鉄がなぜ不足しているのかを考えなければなりません。もちろん、鉄の摂取が足りなくて不足している人もいます。しかし、鉄の毒性から守るために鉄の吸収が抑制されているケースが結構多いのです。

酸化ストレス・慢性炎症や感染による副腎疲労

では、鉄の有害性について説明しましょう。

鉄は活性酸素を処理できない人が摂取すると、細胞傷害性が最も強いヒドロキシラジカルを作ってしまい酸化ストレスや炎症が増大します。

また鉄は細菌や真菌の格好の餌なので、それらが増殖している時に鉄を摂取するとさらに増殖を許してしまいます。

そのために、酸化ストレスや感染している時は、例え鉄が不足していても鉄を摂取すると有害なのです。

また、我々の体は、活性酸素の問題がある時や感染している時は、生体防御反応として鉄の吸収をブロックするシステムが働くのです。(肝臓で産生されるヘプシジンというペプチドホルモンが鉄の吸収を抑制します)。そのために鉄が欠乏している事がよくあります。

鉄は諸刃の剣のようなものなのです。鉄はタンパク質と結合した「鉄タンパク質」という形態では割と大丈夫なのですが、タンパク質と結合していないフリーの鉄(遊離の鉄)はヒドロキシラジカルを作ったり、細菌の餌となり有害です。

このような理由で、鉄が不足している人でも、まず酸化ストレスや感染の問題をチェックし、それを解決してから鉄を補うべきです。

また鉄タンパク質を増やすためには十分なタンパク質が必要です。肝臓でタンパク合成を促進する亜鉛も役に立ちます。

↓酸化ストレス・活性酸素についてはこちらのページで詳しく解説しています

活性酸素について

重金属・化学物質中毒による副腎疲労

繰り返しになりますが、コレステロールを材料にステロイドホルモンを合成するにはCYP450という酵素の働きが必要でした。

そして、このCYP450には鉄を含んだ分子であるヘムが必要不可欠です。

このヘムは、ヘム合成回路において8段階の反応を経て合成されます。そのヘム合成回路を阻害するのが有害化学物質や有害金属です。

例えば代表的な有害金属である水銀はヘム合成回路において、2つの酵素(ウロポルフィリノーゲン脱炭酸酵素、コプロポルフィリノーゲン酸化酵素)を阻害します。

このようにしてヘム合成回路が阻害されるとCYP450の酵素活性が低下しステロイドホルモンが産生低下する事が副腎疲労に繋がっています。

私達の身体に有害物質が蓄積するのは、身体が本来もっているはずの自然な解毒システムの許容量を超えた量の有害物質を取り込んでいるからです。

すから、身体が本来もっているはずの自然な解毒システムをサポート&強化して、解毒できる許容量を増やす事が根本的なデトックスのあり方なのです。

その自然な解毒システムには次のようなものがあります。

  • グルタチオン抱合
  • 硫酸抱合
  • グルクロン酸抱合

その他に排泄器官である腎臓と腸も重要です。

※本来の排泄器官である腎臓や腸から排泄ができなくなると、本来は排泄器官ではない皮膚や肺から、汗や呼気となって排泄されるようになります。(皮膚炎や臭いの原因)

これらの解毒システムを常にサポート&強化する事で安全にデトックスする事ができ、再び有害物質が蓄積する事もありません。

↓重金属・化学物質の解毒についてはこちらのページでさらに詳しく解説しています

重金属・化学物質の解毒(デトックス)について

ストレスによる副腎疲労

CYP450が作用する時は副産物として活性酸素も発生します。

肉体的および精神的ストレスが活性酸素を発生させるのはよく知られていますが、それはストレスを感じるとコレステロールからコルチゾールを合成する過程でCYP450が働き、その副産物として活性酸素が発生するからです。

そのため、運動や仕事のし過ぎを注意したり、心理療法を当院で行う事もよくあります。

副腎疲労から甲状腺機能低下への連鎖

甲状腺ホルモンはコレステロールからステロイドホルモンへの変換を促進する働きがあります。

そのため甲状腺機能低下になるとコレステロールの代謝が低下します。

血液検査でコレステロールの数値が高い人のおよそ10%は甲状腺機能低下が原因だと言われています。

なので甲状腺機能低下のアプローチが副腎疲労に有効な場合が多くあります。

また、副腎疲労があると、甲状腺ホルモンのT4(ホルモンとしての活性が弱い)をT3(ホルモンとしての活性が強い)に変換する事が難しくなり、LowT3と呼ばれる状態になる事があります。

このように、甲状腺機能低下と副腎疲労はお互いに繋がっている事がよくあるのです。そのため、副腎疲労の方達を検査してみると、副腎疲労だけでなく甲状腺機能低下の反応もよく出ます。ですから、副腎疲労症候群の症状と甲状腺機能低下の症状はかなり似ているのです。

↓甲状腺機能低下についてはこちらのページで詳しく解説しています

甲状腺に対するアプローチ

副腎疲労の人は食事を抜いては駄目!

断食・ファスティングは副腎疲労の人はやってはいけません。

副腎疲労のように血糖調節異常がある人が断食・ファスティングを行うと副腎にさらに負担をかけてしまいます。

また、1日1食というのも駄目です。

糖質完全カットみたいな極端な糖質制限も駄目です。

血糖値を安定化させるために糖質を少量ずつ1日数回摂取し副腎の負担を少なくするべきです。

もちろん、糖質といっても砂糖などの単糖類は駄目ですし、糖質の摂りすぎも血糖値を不安定にするので駄目です。

副腎疲労と機能性ディスペプシア

機能性ディスペプシア(または機能性胃腸症)とは、内視鏡検査などでもガンや潰瘍といった器質的疾患が見られないにもかかわらず、胃の痛みやもたれ感、食後の膨満感、不快感などを覚える疾患の事です。

健康診断受診者の約15%、上腹部症状による医療機関受診者の約50%が機能性ディスペプシアと診断されるほどありふれた病気だそうです。

私の所にも機能性ディスペプシアらしき人が多く来られますが、私がフィシオエナジェティックによって検査してみると、多くの方に副腎疲労が関係しています。

そのメカニズムをできるだけ簡単に説明します。

まず、ストレスなどがあると脳の視床下部という所からCRH(副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン)が出て下垂体を刺激します。さらに下垂体は副腎皮質を刺激します。

そうやってコルチゾールなどの副腎皮質ホルモンが出ています。

しかし、CRHは副腎皮質ホルモンの分泌に関与しているだけでなく、迷走神経を介して胃や十二指腸といった上部消化管運動を抑制しているのです(専門用語でCRH2型受容体というのが関係しています)。そのため機能性ディスペプシアとなります。

また、CRHは下部消化管運動(結腸)を亢進させます(専門用語でCRH1型受容体というのが関係しています)。それが過敏症腸症候群の原因となります。

ですから機能性ディスペプシアや過敏性腸症候群などの症状がある方は、副腎疲労を疑ってみると良いでしょう。

私の所に来ていただいた方で副腎疲労がある場合は、フィシオエナジェティックの検査に基づいたサプリメントのアドバイスや心理セラピーなどを行う事が多いです。

そして胃腸の問題がある場合に副腎疲労は欠かせないチェックポイントだと私は考えています。

症例

低血糖症と診断された重度の慢性疲労症候群の症例

この患者は栄養療法のクリニックで「低血糖症」と診断されていました。

しかし、そこでの治療は効果がなく当院に来られました。当院に最初に来られた時は以下のよう状態でした

  • 極度の疲労のため学校をずっと休んでいる。
  • 声を出すのもつらく家でずっと寝ている。
  • ほんの数分歩くだけで動けなくなる

しかし、短期間で以下のように劇的に変わりました。

  • 疲労感が無くなり毎日元気に学校に行けるようになった。
  • よく話すようになり、大きな声も出せるようになった。
  • いっぱい歩けるようになった

私が検査したところ以下の様な問題があり、そのためのサプリメントをおすすめしました。

  • ミトコンドリア機能低下によるATP合成不足
  • 低メチル化によるクレアチンの合成不足
  • 細胞膜のダメージにより栄養素が細胞内まで届かない

私はあくまで良くなるお手伝いをしただけで治したのはご本人です。短期間で良くなって本当に良かったです。

酷い慢性疲労症候群からの回復症例

症状は、

  • 極度の疲労感で立っていられない
  • ブレインフォグ
  • 繰り返すカンジダ膣炎
  • 逆流性食道炎
  • 舌と唇がヒリヒリする
  • 左まぶたの腫れ
  • 背中の痛み
  • 便秘
  • 甲状腺機能低下

など、たくさんの症状がありましたが、1年が経過した現在は肩こりがちょっとある程度になり他の症状は無くなりました。

1年の間に私がフィシオエナジェティックによって見つけ対処した問題は以下の通りです。(かなりたくさんありました)

  • カンジダ菌およびカンジダアレルギー
  • 酵母アレルギー
  • 慢性ウイルス感染
  • メチレーションの問題(CBSという酵素の機能亢進)
  • マンガンの枯渇によるコレステロール不足
  • コレステロール不足による副腎疲労
  • 副腎疲労から連鎖した甲状腺機能低下
  • 亜硫酸塩の過剰産生によるビタミンB1の枯渇
  • マンガンとビタミンB1の枯渇によるATP(エネルギー)合成不足
  • アンモニアと硫化水素の過剰産生によるグルタミン酸受容体の活性亢進
  • 副腎疲労とGABA不足による胃の活動低下、および逆流性食道炎
  • 細胞膜のダメージ 過剰なアンモニアを代謝するためにセロトニン合成に必要なBH4が枯渇
  • 精神的ストレス(過去のトラウマが起因)、嫌われたくない感情
  • 副腎疲労による便秘
  • 炎症
  • DNAの問題
  • 体内時計の狂い

まず、非常に遠い所から新幹線で来られた方だったので、ちゃんと続けて通えるか最初にしっかり確認しました。遠い所から来られる方はこれが一番重要ですね。

慢性疲労からの回復症例

30代女性で、通院期間は約1年半です。

症状は

  • だるさ・疲労感
  • 日中の眠気
  • めまい
  • 軟便
  • 胃のつかえ・胸焼け
  • 軽い動悸
  • うつ

たくさんの症状がありましたが、どの症状も完全に良くなり通院終了となりました。

その間に私がフィシオエナジェティックによって見つけ対処した問題は以下の通りです。

  • 副腎疲労
  • 副腎疲労から連鎖した甲状腺機能低下
  • 低メチル化
  • 硫黄転移経路の亢進(メチレーション回路の一部)
  • アンモニア、硫化水素、グルタミン酸の問題
  • 低メチル化によるドーパミン過剰
  • マンガンの枯渇によるコレステロール不足 ATP(エネルギー)合成不足
  • ミトコンドリアの問題
  • 細胞膜のダメージ
  • ピロールが過剰にできる体質(→ビタミンB6と亜鉛の不足)
  • 腸内細菌異常
  • カビアレルギー
  • ウイルス