脳の様々な問題の改善方法について


当院ではフィシオエナジェティック®によって症状の原因を調べています。フィシオエナジェティック®では、腕の長さの変化となって現れる体の反応を読み取りながら治療を進めていきます。これをARテスト(腕長反射)と言います。

※当院では医師のような病気の診断や医療行為はできません。フィシオエナジェティック®はあくまで代替療法であり、現代医学で認められていない事をご了承下さい。


このページでは脳に関係する様々な症状・疾患へのアプローチについて説明しています。例えば、以下のような症状・疾患の方には、このページに書いてある事が参考になると思います。

  • 睡眠障害、不眠症、ナルコレプシー(日中の異常な眠気)
  • 起立性調節障害、不登校、朝起きられない
  • 精神疾患(うつ病、不安障害、強迫性障害、摂食障害、パニック障害、自臭症、引きこもり)
  • メニエール、めまい、耳鳴り
  • 発達障害、自閉症
  • 認知症、物忘れ・健忘症など脳の老化

※精神疾患の方で私がお役に立てるかもしれない人は症状が比較的軽い人だけです。特に自殺念慮(死にたい気持ち)があるような重症化している場合は精神科での治療に専念してください。

脳を健全にするポイント / このページの要点

重要なのは、栄養療法、休養/ストレス低減、運動、心理療法

栄養療法

メチル化によって、(1)神経伝達物質の量が決まり、(2)神経細胞の軸索が伸びる事によって脳内ネットワークを形成し、(3)ミエリンを形成する事で軸索の保護や神経細胞の代謝を促している。よってメチル化へのアプローチは健全な脳を作るために非常に重要である。しかしメチル化にいきなりアプローチしても成功しない。

まずは基本的な事からスタートする。具体的には、水分と電解質の補給(細胞の健全な働きに必須です)、酸化ストレス対策、解毒、細胞膜の修復、ミトコンドリアの活性化、リーキーガット、腸内細菌など腸内環境の改善、消化を良くする(胃酸・消化酵素・胆汁などの分泌)。これらの基本的な事でも副腎疲労や甲状腺機能低下やグルタミン酸の興奮毒性にだいたいは対応できる。神経伝達物質の量を決める最大の因子であるメチル化はこれらの基本ができてからにする。

休養/ストレス低減
仕事が忙しすぎる、介護疲れ、育児疲れ、パワハラなど、あまりにも大きすぎるストレスが降り掛かっている場合は、休職する、退職する、職場の移動をお願いする、他の人に介護や育児を頼むなどしてストレスを減らし、休養する時間と安心・安全を確保する。

心理療法
まず取り組むべき事は、ストレスのない状態ではしっかり落ち着いている状態を目指すセラピー。それができてからトラウマセラピーを開始する。

運動
脳を発達させる重要な因子であるBDNF(脳由来神経栄養因子)を増やすために運動が必要。うつ病の薬にもBDNFを増やす働きがあるが、運動は薬よりも効果的にBDNFを増加させる。

脳の萎縮や損傷の原因

精神疾患や認知症など様々な中枢神経疾患には、脳の萎縮や損傷が深く関係しています。萎縮や損傷が起きる原因は、(1)ストレスによるコルチゾールの脳内流入、(2)ストレスや運動不足によるBDNF(脳由来神経栄養因子)の減少、(3)グルタミン酸の興奮毒性、(4)活性酸素や重金属、(5)脳のエネルギー不足などが関係しています。

脳の萎縮や損傷が起きる原因

心理的ストレスによるコルチゾールの脳内流入
例えば、体罰や言葉での虐待などの逆境的小児期体験(ACE)がミエリンの障害の原因となっている事が研究でわかっています。ストレスによって大量のコルチゾールが脳内に流入し特に海馬が萎縮・損傷します。
BDNF(脳由来神経栄養因子)の減少
BDNF(脳由来神経栄養因子)とは、脳細胞の増加や成長を促すタンパク質です。精神的ストレスの増加と運動不足でBDNFが減少する事で脳の発達が止まり萎縮します。
グルタミン酸の興奮毒性
過剰なグルタミン酸は脳の興奮性を亢進させ、その興奮毒性により中枢神経を傷害してゆきます。
活性酸素
脳は活性酸素に非常に弱い部位です。
重金属
特に水銀は脳細胞を破壊します。
脳のエネルギー不足
脳の修復や発達にはエネルギーが必要です。

 

脳の萎縮や損傷を回復させるアプローチ

メチル化

※画像はWikipediaから

メチル化は脳を修復・成長させる事にも非常に重要な働きをしています。PRMT1というメチル化酵素は、メチル化によって神経細胞の軸索という部分を伸ばしてゆき、脳内の情報ネットワークを作ってゆきます。さらに、PRMT1は神経を覆っている絶縁体のカバーであるミエリン鞘の形成にも深く関与しています。ミエリンは軸索の保護や神経細胞の代謝を促しています。なので、ミエリンの形成不全はストレス適応障害の原因となります。

※末梢神経障害の薬として医師が処方するメチコバールという薬は、ビタミンB12にメチル基がついているメチルコバラミン(ビタミン剤)ですが、これはメチル化にかなり関係の深い栄養素です。メチコバールはメチル化を促す事によって末梢神経の修復をしようとしているものと考えられます。

それから、PEMTというメチル化酵素は、ミエリンの材料であるホスファチジルコリンを合成します。そのホスファチジルコリンは、卵や肉などの食品からコリンを十分に摂取できていればPEMTの働きがなくても足りているのですが、多くの人が食事から十分にコリンを摂取できていないので、やはりPEMTの働きは重要です。

メチル化に必要な事は、食事中のタンパク質から取り入れたメチオニンが、メチオニン→SAMe→SAH→ホモシステイン→メチオニンと代謝しながらサイクルしていく事です。このサイクルの事をメチル化サイクル(メチレーションサイクル)といいます。メチル化とは、このサイクルの途中にあるSAMeに含まれるメチル基を使った化学反応です。このサイクルが滞るとメチル化も停滞してしまいます。

 

このメチル化サイクルを順調に回転させるために必要な栄養素は以下の通りです。じゃ、これらのサプリメントを全部とればいいかというと違います。人によって必要なサプリメントは違ってきますので、私の場合はARテストでその人に必要なサプリメントを選んでいます。

  • メチオニン
  • 亜鉛
  • メチルコバラミン(ビタミンB12の活性化型)
  • 食事性の葉酸またはメチルコバラミン(葉酸の活性化型)
  • ベタイン(=トリメチルグリシン)
  • P5P(ビタミンB6の活性化型)

メチル化に取り組む前に取り組むべき事は以下のような栄養療法の基本的な対策を先に完了しておくことです。これらの対策を先にしていないと、サプリが吸収されない、栄養素が細胞内に届かない、毒素や活性酸素などがメチル化サイクルを阻害するなどして効果がでません。

  • 水分と電解質の補給(細胞の健全な働きに必須です)
  • 酸化ストレス対策
  • 解毒
  • 細胞膜の修復
  • ミトコンドリアの活性化
  • リーキーガット、腸内細菌など腸内環境の改善
  • 消化を良くする(胃酸・消化酵素・胆汁などの分泌)

BDNF(脳由来神経栄養因子)

BDNF(脳由来神経栄養因子)とは、脳細胞の増加や成長を促すタンパク質です。このBDNFの減少が脳に関する様々な疾患と大きく関係がある事が明らかになっています。

このBDNFはストレス低減と運動によって増加しますので、運動を習慣化し、必要あれば心理療法を行う事がBDNFの増加にとても重要になってくるのです。(特に脳が最も発達する子供の時の運動はとても重要!)

研究によると、BDNFを増加させるたために特に効果がある運動はHIIT(ハイ・インテンシティ・インターバル・トレーニングの略)のような強度の高い運動らしいのですが、運動不足で体力が低下した人には適していません。それに、実際には散歩程度の軽い運動でも効果があります。

活性酸素

脳は酸化ストレスに非常に弱い部位です。脳の重量は体重の2%であるにもかかわらず、吸入した酸素の20%を消費します。また活性酸素の標的になる多価不飽和脂肪酸を多く含む一方で、脳の抗酸化物質、酵素レベルは他の臓器に比べ低いのです。ですからストレス低減やサプリメントによって活性酸素対策をする事が脳を保護するために欠かせません。

※活性酸素についてこちらのページでさらに詳しく解説しています

有害重金属

重金属(特に水銀)はこの動画のように脳細胞など神経そのものを破壊します。よって重金属のデトックスをする事が脳を保護するために欠かせません。

↑水銀を滴下すると脳神経細胞が破壊されていく様子

デトックスでよくあるのが、毛髪ミネラル検査をして有害物質の蓄積があればキレート剤でデトックスをするというもの。しかし、それには色々と問題があると私は思っています。まず、毛髪ミネラル検査の結果は当てになるのか?という問題。毛髪からたくさんの有害ミネラルが検出されたら、それはちゃんと排出できているからとも解釈できますし、逆に、数値的に低くても、それは排出できない体質だからとも解釈できます。なので、私は患者が毛髪ミネラル検査の結果を持ってきても全く参考にしていません。

また解毒できない体質の人には「硫黄不耐性」の人も多く、硫黄をたっぷり含んだキレート剤で体調が悪化する事もよくあります。そのような体質の人には硫黄不耐性に対するアプローチをすることで解毒できる体質になります。それから、キレート剤でデトックスをしても、しばらくするとまた蓄積してきます。

私達の身体に有害物質が蓄積するのは、身体が本来もっているはずの自然な解毒システムの許容量を超えた量の有害物質を取り込んでいるからです。ですから、身体が本来もっているはずの自然な解毒システムをサポート&強化して、解毒できる許容量を増やす事が根本的なデトックスのあり方なのです。そして、その方法であれば安全で体調を崩す事もありません。自然な解毒システムには次のようなものがあります。

  • グルタチオン抱合
  • 硫酸抱合
  • グルクロン酸抱合
  • シトクロームP450(肝臓のフェーズ1の酵素)

その他に排泄器官である腎臓と腸も重要です。本来の排泄器官である腎臓や腸から排泄ができなくなると、本来は排泄器官ではない皮膚や肺から、汗や呼気となって排泄されるようになります。これらの解毒システムを常にサポート&強化する事で安全にデトックスする事ができ、再び有害物質が蓄積する事もありません。

グルタミン酸の興奮毒性

グルタミン酸というのは中枢神経における興奮性の神経伝達物質で、これが正常に(適度に)働いていれば記憶や学習などの脳の高次機能システムに重要な役割を果たします。しかし過剰なグルタミン酸は脳の興奮性を亢進させ、その興奮毒性により中枢神経を傷害してゆきます。よって過剰なグルタミン酸の働きを抑制する事が脳を保護するために欠かせません。

例えば、以下のような中枢神経症状がグルタミン酸の興奮毒性と関係があると考えられています。

  • うつ病
  • 不眠症
  • 双極性障害
  • 強迫性障害
  • 自閉症
  • 認知症
  • アルツハイマー病
  • パーキンソン病
  • てんかん
  • 筋萎縮性側索硬化症(ALS)
  • 脊髄小脳変性症
  • 多発性硬化症
  • 自閉症
  • 薬物依存
  • 片頭痛
  • 本態性振戦

またグルタミン酸の興奮毒性は中枢性感作という中枢神経に原因がある感覚過敏を引き起こすので、以下のような感覚過敏症状とも関係があります。

  • 線維筋痛症→疼痛過敏
  • 慢性疲労症候群→光過敏、聴覚過敏
  • 過敏性腸症候群→腸粘膜の過敏
  • 機能性ディスペプシア→胃粘膜の過敏
  • 咽喉頭異常感症(ヒステリー球)→咽喉頭の粘膜の知覚過敏
  • 舌痛症・口腔内灼熱症候群(バーニングマウス症候群)→舌や口腔の疼痛過敏
  • 特発性(原因不明)の歯痛・顔面痛→歯や顔面の疼痛過敏
  • 慢性骨盤痛症候群→骨盤内の疼痛過敏や知覚過敏
  • 顎関節症→顎関節の知覚過敏
  • むずむず脚症候群→脚の知覚過敏

グルタミン酸の興奮毒性の原因

(1)まず考えられるのがストレスです。グルタミン酸神経の働きはストレスによって増強するからです。ストレス対策は非常に重要になります。

(2)それからGAD(グルタミン酸デカルボキシラーゼ)という酵素の活性低下が考えられます。グルタミン酸はGADによってGABA(ガンマアミノ酪酸)という抑制性の神経伝達物質、つまり脳の興奮を抑え精神を安定させる物質に変わります。睡眠薬はこのGABAの働きを良くして脳の興奮を抑える働きがあります。


そのGADの酵素活性が低下すると、グルタミン酸とGABAがアンバランスになり、グルタミン酸の興奮毒性が増大します。そのGADの酵素活性を低下させる要因には 遺伝、 重金属(特に水銀と鉛)、 ウイルス、 抗GAD抗体(インスリン依存性糖尿病の患者に多い)などがあります。

(3)グルタミン酸受容体(特に重要なのがNMDA型グルタミン酸受容体)が過剰に活性化する事も興奮毒性の増大に繋がります。マグネシウムや亜鉛にはグルタミン酸受容体の活性を落ち着かせる働きがあります。

↑炎症やストレスなどによってIDOという酵素が活性化すると、トリプトファンがキヌレニン経路に流れてゆきます。そして最終的にはナイアシンの活性化型であるNADに代謝されるのですが、この時にマグネシウムが不足しているとNMDA型グルタミン酸受容体を活性化する作用があるキノリン酸で代謝がストップしキノリン酸が増加します。ですから、慢性炎症やストレスのある状況下ではマグネシウムをたくさん摂取する必要があります。

神経伝達物質の代謝へのアプローチ

メチル化による神経伝達物質の調節

メチル化はセロトニンやドーパミンなどの神経伝達物質の量に大きく影響します。メチル化が不十分な状態である「低メチル化」と過剰な状態である「高メチル化」では、神経伝達物質の量が違うのです。

※画像はウィキペディアより)

低メチル化タイプの人は、シナプス間隙(神経と神経の間の部分)に放出されたセロトニンやドーパミンなどの神経伝達物質の再吸収が促進されます。そのためシナプス間隙の神経伝達物質が不足します。 低メチル化はうつ病や自閉症の人に多いようです。

※医師が処方するSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)は、その名の通りセロトニンの再吸収を阻害する事によってシナプス間隙のセロトニンを増加させます。

逆に高メチル化タイプの人は、神経伝達物質の再吸収が低下するため、シナプス間隙の神経伝達物質が過剰になります。このタイプの人は統合失調症や双極性障害の人に多いようです。

モノアミン代謝

神経伝達物質のうちセロトニン、ノルアドレナリン、ドーパミンは、モノアミンと総称されています。うつ病はこれらのモノアミンの減少が関係している事があります。セロトニンはトリプトファンというアミノ酸から、ドーパミンとノルアドレナリンはチロシンというアミノ酸から合成されます。この合成経路に何らかの問題があるとモノアミン不足になります。

トリプトファン代謝

心を落ち着かせる作用のあるセロトニンは以下の図のように  トリプトファンからトリプトファン水酸化酵素(TPH)、芳香族L-アミノ酸脱炭酸酵素(AADC)による二段階の酵素反応を経て合成されます。トリプトファン水酸化酵素(TPH)にはBH4という補酵素が必要です。BH4はBH2から変換されてできるのですが、BH2からBH4への変換はメチル化が十分にできている時に促進されるので、低メチル化状態だとセロトニンの合成が低下します。またTPHはビタミンDによって酵素活性が高まります。そのビタミンDはコレステロールから合成されますが、その合成経路に問題があったり、遺伝的にビタミンD受容体(VDR)に問題があって、ビタミンDが作用しにくい人がいます。次に芳香族L-アミノ酸脱炭酸酵素(AADC)にはビタミンB6が必要です。

免疫異常によって精神症状がでたり、ストレスや炎症によって免疫力が低下するのはIDOという免疫抑制酵素が関係している事があります。トリプトファンはセロトニンの合成だけでなく、T細胞という免疫細胞の増殖・活性化にも必要なアミノ酸です。なので免疫疾患によりT細胞が過剰に活性化するとトリプトファンが枯渇します。トリプトファンはセロトニンの合成だけでなく、T細胞という免疫細胞の増殖・活性化にも必要なアミノ酸です。なので免疫疾患によりT細胞が過剰に活性化するとトリプトファンが枯渇します。

 

また、炎症やストレス、がんや妊娠などによってIDOという酵素が活性化してキヌレニンを合成する経路に流れてゆきます。そのためセロトニンの合成にに必要なトリプトファンが枯渇し精神症状がでる事があります。ちなみに癌細胞は、このIDOという酵素を活性化させる事によりトリプトファンを枯渇させて免疫力を低下させています。また妊娠した時は胎児に体する過剰な免疫反応から守るためにIDO酵素を活性化させて免疫細胞に必要なトリプトファンを枯渇させています。

チロシン代謝

ドーパミンは、以下の図のように、チロシンからチロシン水酸化酵素(TH)、芳香族アミノ酸デカルボキシラーゼ(AADC)のによる二段階の酵素反応を経て合成されます。(さらにドーパミンからノルアドレナリンやアドレナリンへと代謝されます)チロシン水酸化酵素(TH)にはBH4という補酵素が必要です。BH4はBH2から変換されてできるのですが、BH2からBH4への変換はメチル化が十分にできている時に促進されるので、低メチル化状態だとドーパミンの合成が低下します次に芳香族アミノ酸デカルボキシラーゼ(AADC)にはビタミンB6が必要です。

ストレスケア / 心理療法

デフォルトモードネットワークの過活動が脳のエネルギーを無駄遣いする

精神的健康度が低い人はこのデフォルト・モード・ネットワークが過活動になっていて、否定的な思考や意識が堂々巡り(反芻思考)している状態、あるいは否定的な思考や意識で彷徨っている状態(マインドワンダリング)になっています。特に、過去や未来への不安や恐怖などネガティブな思考や、自己認識(自分自身について考える事)に関するネガティブな思考が堂々巡りしていています。

脳のエネルギー不足の原因には、デフォルト・モード・ネットワークの過活動が大きく関係しています。デフォルト・モード・ネットワークとは、意識的な作業・課題に集中して取り組んでいない時の脳内ネットワークの事で、「脳のアイドリング状態」とも言えます。それに対し、意識的な作業・課題に取り組んでいる時には、短期記憶を用いた情報処理をするためのワーキングメモリという脳内ネットワークを働かせています。

ワーキングメモリよりもデフォルト・モード・ネットワークのほうが脳のエネルギー消費量が大きいので、デフォルト・モード・ネットワークが過活動になっていると脳疲労の症状やワーキングメモリが発揮できない症状が現れる事があります。例えば、頭がモヤモヤしてすっきりしない、今さっきの事が思い出せない、やるべき事に集中できない、古い考え方を捨てて新しい考え方へとシフトできない、感情を整理したり調節できないなど。。。

デフォルト・モード・ネットワークの沈静化させるには、安心・安全をしっかり感じて、意識が過去や未来ではなく現在にある状態、すなわち「今ここ」という状態にするセルフケアや心理療法が必要になります。運動のように頭を使わない時間を確保する事もデフォルト・モード・ネットワークを沈静化させるのに大変有効でセルフケアとしてお勧めしています。

身体志向の心理療法 / トラウマセラピー

精神的健康度が低い人がまず取り組むべき課題は、ストレスを減らし、休養する時間を増やす事です。これをせずに栄養療法に取り組んでもあまり効果はないでしょう。具体的には、仕事が忙しすぎる、介護疲れ、育児疲れ、パワハラなど、あまりにも大きすぎるストレスが降り掛かっている場合は、休職する、退職する、職場の移動をお願いする、他の人に介護や育児を頼むなどしてストレスを減らす必要があります。

精神的健康度が悪い人は、例え安心・安全な状況でも、自律神経はリラックスモードではなく、サバイバルモードになっています。そして、通常は自律神経の調節不全を引き起こす事がない日常の小さな刺激にも自律神経は反応してしまいます。そのため心理療法でまず取り組むべき事は、ストレスのない状態、あるいは安心安全な場所ではしっかり落ち着けるようにする事です。そのように、意識が過去や未来ではなく今この瞬間に向いていて、しっかり落ち着いている状態の事を「今ここ」とか「マインドフルネス」といいます。これができるようになるまでに早い人で1~3回、非常に遅い人で1年くらいかかります。回復を焦るあまり、すぐにトラウマセラピーを開始してしまうと結局遠回りになってしまいます。

トラウマセラピーでは「タイトレーション」や「ペンデュレーション」というテクニックを使って非常に安全に取り組みます。「タイトレーション」とは、巨大なエネルギーをもったトラウマを小さく切り崩して、扱いやすい大きさにして取り組む方法です。「ペンデュレーション」は、トラウマに意識を釘付けにするのではなく、安心・安全を感じられるもの(リソースといいます)にも意識を向けながら、同時にトラウマにも意識(=好奇心)を向ける方法です。この2つのテクニックによってトラウマがもつエネルギーをリソースで包み込むようにする事ができ、トラウマに圧倒される事なく安全に取り組む事ができます。


私の心理療法は主に身体感覚にアプローチする方法です。これは考え方を変えるとか、感情をしっかり感じきるといった従来の方法より安全で効果的な方法です。トラウマセラピーは、Less is More(少ない方が豊か)とか、Slow is Fast(ゆっくりやるのが早い)と形容されるように、大きく刺激して短期間で大きく変えようとするより、小さく・ゆっくり変化させるほうが後戻りもなく、結局、そのほうが近道となります。

※私の心理療法のやり方についてこちらのページに詳しく書いてますのでお読みになってください。