化学物質過敏症へのアプローチ
当院ではフィシオエナジェティック®によって症状の原因を調べています。フィシオエナジェティック®では、腕の長さの変化となって現れる体の反応を読み取りながら治療を進めていきます。これをARテスト(腕長反射)と言います。
※当院では医師のような病気の診断や医療行為はできません。フィシオエナジェティック®はあくまで代替療法であり、現代医学で認められていない事をご了承下さい。
化学物質過敏症の苦しみ
本人が身体症状を感じて苦しんでいる事は紛れもない事実です。
しかし化学物質過敏症は病院に行っても原因不明か異常無しが当たり前で、医師や周囲の人から理解されません。
「原因不明だから精神的なもの」「身体的には異常無いから精神的なもの」、、、西洋医学ではそのように診断するのが普通なのかもしれません。
そのように精神疾患扱いされる事で「わかってもらえない」という悲しみや絶望感、そして医師に対する怒りや不信感を感じた人も多いでしょう。
そして、原因を突き止めることに多くの時間やエネルギーを費やし、その事がストレスとなり症状が悪化する人もいます。
私が行っているフィシオエナジェティック®では症状に囚われずにホリスティック(全人的)にみます。そして「原因不明だから精神的なもの」「身体的には異常無いから精神的なもの」という見かたはしません。
ARテストによって、身体構造、生体化学、精神心理、情報、チャクラ、サトルボディのどのセラピーが必要なのか調べて、少しずつ深く掘り下げてゆきます。
しかし、そのようにしてARテストによって化学物質過敏症の方を調べてみると、化学物質過敏症のほとんどの方に精神心理の問題が関係しています。
身体症状だから身体的に何か問題があるはずだと考えるのは自然だと思いますが、心理面からのアプローチも前向きに捉えていく事が化学物質過敏症の改善への第一歩となるでしょう。
もちろん、化学物質過敏症には精神心理の問題の他にも、化学物質中毒やアレルギーなどが関係しているかもしれないので、そのような事にも目を向けてゆきます。
化学物質に暴露した時のトラウマ
化学物質過敏症が発症するきっかけでよくお聞きするのは、香水、柔軟剤、タバコなどの香害です。
健常者でも気持ち悪くなるような強い臭いに暴露されて体調が悪くなった体験をした事で、それがトラウマとなる事があります。特に、気持ち悪くなった体験に不安や恐怖や怒りなどの強い感情が結びついた時にトラウマ化しやすいでしょう。
あるいは、体調を良くしたい気持ちから身体に悪そうな物をストイックに排除しているうちに、化学物質や電磁波に対する強迫観念(強い不安や恐怖)が成立しトラウマ化した人もいます。
そのようにしてトラウマ化すると、健常者には何も感じないレベルの化学物質でもトラウマ反応によって化学物質過敏症の症状が出るようになります。
またトラウマ化してしまうと、暴露してしまった時の事を思い出すだけでも、ドキドキする、汗が出てくる、身体がこわばる、舌が痺れる、頭に霧がかかる、など様々な落ち着かない身体感覚が出ます。何故なら、化学物質に暴露してしまった時の記憶は身体感覚として保存されているからです。
そのような身体感覚から不安や恐怖などのネガティブな感情が生まれ、さらにネガティブな思考や思い込みが生まれます。
つまり 身体感覚→ネガティブな感情→ネガティブな思考 という連鎖反応が起きているのです
ですから、私のトラウマセラピーでは、認知や感情よりもトラウマが保存されている身体感覚に直接アプローチする方法をとります。
だだし、いきなりトラウマセラピーはしません。まず最初は、トラウマに取り組まない心理療法を行って、少なくとも私とのセッションの時はしっかり落ち着けるようになる事を目指します。
私の心理療法についてはこちらのページに詳しく解説しています
環境毒素を解毒できない体質
私達の身体に有害物質が蓄積するのは、身体が本来もっているはずの自然な解毒システムの許容量を超えた量の有害物質を取り込んでいるからです。
すから、身体が本来もっているはずの自然な解毒システムをサポート&強化して、解毒できる許容量を増やす事が根本的なデトックスのあり方なのです。
では自然な解毒システムには次のようなものがあります。
- グルタチオン抱合
- 硫酸抱合
- グルクロン酸抱合
- シトクロームP450(肝臓のフェーズ1の酵素)
この他に排泄器官である腎臓と腸も重要です。
※本来の排泄器官である腎臓や腸から排泄ができなくなると、本来は排泄器官ではない皮膚や肺から、汗や呼気となって排泄されるようになります。(皮膚炎や臭いの原因)
これらの解毒システムを常にサポート&強化する事で安全にデトックスする事ができ、再び有害物質が蓄積する事もありません。
よくある原因が硫黄の不足
毒素を解毒するシステムとしてグルタチオン抱合や硫酸抱合(あるいは硫酸化)という解毒システムがあります。
グルタチオン抱合にはグルタチオンが必要で、硫酸抱合には硫酸塩が必要です。グルタチオンと硫酸塩はメチレーション回路の硫黄転移経路(トランススルフレーション)を経て合成されます。この硫黄転移経路に問題があると、グルタチオンや硫酸塩が不足し自然に解毒できない体質となります。
硫黄転移経路のよくある問題の1つは硫黄の摂取が不足している事です。硫黄をしっかり摂取するためには、硫黄を含むアミノ酸であるメチオニンとシステインを肉・魚・卵などの動物性蛋白質から摂取する事です。牛乳にアレルギーがなければホエイプロテインもお勧めです。またニンニクなどのユリ科の野菜やブロッコリーなどのアブラナ科の野菜からも硫黄を摂取できます。
SUOX(亜硫酸オキシダーゼ)の活性低下
SUOXは亜硫酸塩を硫酸塩に変える酵素です。この酵素が働かないと硫酸抱合による化学物質の解毒ができなくなります。また代謝できない亜硫酸塩によって頭痛や喘息のような硫黄不耐性(別名:サラダバー症候群)の症状が出ます。
また、このタイプの人は病院のキレート療法で調子が悪くなるタイプです。キレート剤に硫黄が含まれているからです。
SUOXは遺伝子多型により酵素活性が低下している人も多く、その場合SUOXの補因子であるモリブデンをサプリメントでがっちり摂取する必要があります。
システインからグルタチオンへの変換ができない体質
システインが足りていてもグルタチオンに変換できない人もいます。
その場合は、ビタミンD3、マグネシウム、クルクミン、スルフォラファンなどで変換を促進する事ができます。
シトクロムP450へのアプローチ
シトクロムP450は肝臓に最も多く存在する約50~100の薬物代謝を担う酵素群です。肝臓にはフェーズ1とフェーズ2(硫酸抱合やグルタチオン抱合など)と言う2段階の解毒システムがありますが、シトクロムP450はそのフェーズ1で作用する酵素群です。このシトクロムP450は活性低下と活性亢進の両方で問題を起こします。
活性低下の場合
鉄、ビタミンC、マグネシウム、亜鉛、銅などがシトクロムP450の活性化に必要です。それらの中から必要なものを検査で選びサプリメントでがっちり補う必要があります。
また、グレープフルーツに含まれるナリンゲニンという成分はシトクロムP450の酵素活性を30%低下させるので、グレープフルーツジュースなどは飲んではいけません。その他、ウコンで酵素活性を低下します。
活性亢進の場合
シトクロムP450(=フェーズ1)の解毒機能がフェーズ2に比べて亢進しすぎるのも問題があります。なぜなら、フェーズ1で処理された直後の中間代謝物は処理される前より毒性が高く危険なので、フェーズ2で速やかに解毒できないと、中間代謝物の毒性にやられてしまうからです。
つまり、フェーズ1の解毒スピードはフェーズ2の解毒スピードと釣り合いが取れていなければならないのです。
また、シトクロムP450の副作用は、毒素が処理される際に活性酸素が産生される事です。その活性酸素はグルタチオンによって中和されますが、グルタチオンが不足・枯渇していると、肝臓は自らが産生した活性酸素によってダメージを受ける事になります。
シトクロムP450はアルコール、タバコ、その他の毒素の取り込みによって活性亢進します。
フェーズ1の解毒スピードががフェーズ2に比べて亢進している場合にまず考える事はアルコール、タバコ、その他の毒素の取り込みを減らす事です。次にフェーズ2を活性化させる事。その他の方法としてグレープフルーツジュースやウコンなどシトクロムP450の酵素活性を下げる物質を摂取する方法があります。また活性酸素対策も重要です。
グルタミン酸の興奮毒性
グルタミン酸というのは中枢神経における興奮性の神経伝達物質で、これが正常に(適度に)働いていれば記憶や学習などの脳の高次機能システムに重要な役割を果たします。しかし過剰なグルタミン酸には神経細胞を障害する作用(興奮毒性)があり、様々な病気・疾患に関与しています。例えば、、、
感覚過敏(化学物質過敏症の人によくあるのは嗅覚過敏)、線維筋痛症(化学物質過敏症と合併しやすい)、うつ病、不眠症、双極性障害、強迫性障害、認知症、アルツハイマー病、パーキンソン病、てんかん、脳虚血/脳梗塞、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、脊髄小脳変性症、多発性硬化症、緑内障、自閉症、薬物依存、ハンチントン病、片頭痛、、本態性振戦、慢性疼痛、全身強直症候群(スティッフパーソン症候群)、、、など。
グルタミン酸はGAD(グルタミン酸デカルボキシラーゼ)という酵素によってGABA(γアミノ酪酸)という抑制性の神経伝達物質、つまり脳の興奮を抑え精神を安定させる物質に変わります。そのGADの酵素活性が低下している原因として以下のような事が考えられます。
- 遺伝
- ビタミンB6不足
- 水銀や鉛の蓄積
- 慢性ウイルス感染(EBウイルスなど)
- 抗GAD抗体(インスリン依存性糖尿病の患者に多い)
なのでビタミンB6(活性化型のP5Pがベター)、重金属の解毒のためのサプリメント、慢性ウイルス感染のためのサプリメントなどが有効な人もいます。
それからグルタミン酸はGS(グルタミン合成酵素)によってグルタミンに変わります。しかし、ミトコンドリアで作られるATPというエネルギーが足りないと、グルタミン酸→グルタミンに代謝されず、逆にグルタミナーゼという酵素の働きにより、グルタミン→グルタミン酸に代謝されてしまいます。なので、細胞膜やミトコンドリアを健全にするサプリメント(たくさんあります)を使ってATPをもっと産生できるようにする事が有効な人もいるでしょう。
NAC(Nアセチルシステイン)というサプリメントは脳内のグルタミン酸レベルを調整する働きがあります。またNMDA型グルタミン酸受容体の感受性は活性酸素に敏感に反応して活発になるので、活性酸素対策は重要です。(NACは活性酸素対策のサプリメントとしても大変有効です。)
その他に、マグネシウムや亜鉛がNMDA型グルタミン酸受容体の活性を落ち着かせる働きがあります。また、電磁波対策や心理療法が有効な人もたくさんいます。
慢性疲労症候群/副腎疲労
化学物質過敏症と慢性疲労症候群はは関連疾患または併発疾患であり、繋がりが深い疾患である事がわかっています。
慢性疲労症候群/副腎疲労症候群についてはこちらのページに詳しく解説しています。
アレルギー
化学物質過敏症の症状はごく少量の物質にでも過敏に反応する点ではアレルギー疾患に似ているためアレルギーの可能性もあるかもしれません。もしアレルギー体質ならば、特に吸入アレルゲン(花粉や排気ガスなど)に反応するアレルギーの可能性もあります。
アレルギーについてはこちらのページで詳しく解説しています。
化学物質過敏症の症例
自宅の近所の土地に除草剤を撒かれてから化学物質過敏症を発症した方がすっかり良くなるまでの取り組みについてお話します。私の所に最初に来院された時の症状としては、農薬、柔軟剤、洗剤、印刷物のインクなどによって、鼻水、鼻詰まり、涙目など目や鼻の症状や、喉の焼け付くような感覚、頭の違和感がありました。
そして、2週間おきに合計25回、約1年にわたってセラピーを施した結果、最後は化学物質に対して平気になり、どうやら完治したようだという事で通院終了になりました。最後のほうの数ヶ月は症状が出ていなかったので、おそらくもうぶり返す事もないだろうと思います。
私が行っているARテスト(腕長反射テスト)で見つけたこの方の栄養療法的問題は、隠れ脱水、電解質不足、活性酸素、腸内細菌異常、細胞膜、重金属および化学物質、貧血、硫黄不耐性などがありました。
それに対して、ラクチュロース、グレープフルーツシード、クエン酸マグネシウム、クエン酸カルシウム、モリブデン、マンガン、ホスファチジルコリン、NAC、鉄、銅、アセチルLカルニチンなどをアドバイスしました。こういったサプリメントの選択もすべてARテスト(腕長反射テスト)によって行っています。
サプリメントの種類は最初は多かったかもしれませんが、終了する時は、クエン酸カルシウム、銅、NACの3種類に絞りました。サプリメンを減らす事ができるようになったのは、食事が充実してきた事も関係あると思います。この方は最初は食事の量が少なかったり、ベジタリアンにやや近いような食事内容でしたから十分な栄養が取れてなかったようです。
それから、ARテスト(腕長反射テスト)によって心理療法の必要性を確かめ、身体志向の心理療法を施しました。私が行っている身体志向の心理療法とは、傾聴や、考え方や感情にアプローチするような従来の心理療法ではなく、主に身体感覚を感じてトラウマを癒やしていく方法です。
心理療法を開始して、一番最初に行ったのは、何も考えずに、ただ今の自分にどんな身体感覚があるか感じ取る事です。すると胸がモヤモヤ・ソワソワ、喉が締まる、お腹の下が上に上がってくるような感覚などがありました。それらの身体感覚を、グラウンディングなどで「今ここ」を感じながら俯瞰してゆくと、次第に落ち着いてゆきます。このようにして、トラウマ的な事を考えたりしなければしっかり落ち着いているという状態をまず確立させました。
そして、次に、今心配している事などについて考えてもらい、その時に湧き上がってくる身体感覚に気づき、それを「今ここ」を感じながら落ち着いて俯瞰してゆくというセラピーを開始しました。
例えば、「春になるとまた除草剤をまかれるんじゃないか」という不安や「実際に除草剤を撒かれた時の事」を考えたり思い出したりした時は、頭がボーっとしたり、喉がヒリヒリしたり、目がしばしばするなど、化学物質過敏症の症状が出てきました(この事はトラウマが化学物質過敏症の症状を誘発している証でもあります)。その身体感覚を「今ここ」を感じながら俯瞰してゆくと落ち着いてゆきました。その他、環境汚染やワクチンの事を考えてもしっかり落ち着く事ができるようになりました。
また、心理療法の途中でチャクラやサトルボディなどの目に見えないエネルギーフィールドの問題も出てきて、そういったセラピーも併せて行う事で解決に向かいました。
この方が、良くなっていった要因として、まず自分の身体感覚を感じ取る事が上手だったという事があります。それから、ゆっくりと少しずつしか良くならない事をしっかり理解して諦めずに2週間に1回のペースでちゃんと通って来てくださった事や、私が行っている心理療法を理解するために役立つポリヴェーガル理論の本を買って熱心に勉強されたりした事もあるでしょう。