耳鳴りに対するアプローチ
当院ではフィシオエナジェティック®によって症状の原因を調べています。フィシオエナジェティック®では、腕の長さの変化となって現れる体の反応を読み取りながら治療を進めていきます。これをARテスト(腕長反射)と言います。
※当院では医師のような病気の診断や医療行為はできません。フィシオエナジェティック®はあくまで代替療法であり、現代医学で認められていない事をご了承下さい。
当院に来て頂いても期待できないタイプの耳鳴りがあります
- すぐに良くなるタイプの耳鳴り
- ストレスや寝不足などによって疲れが溜まっている時だけ発生する耳鳴りはストレスを減らし、しっかり寝て疲労回復するだけ通常は良くなります。このタイプの耳鳴りであれば当院に来る必要はないと思います。
また首コリなどが原因の耳鳴りは、ちゃんとした施術を受ければ比較的良くなりやすいと思います。もちろん当院でも期待できます。 - 音響外傷性の耳鳴り
- 銃声やロックコンサートのような爆音を聞く事で内耳の蝸牛の有毛細胞が障害され、一時的に難聴・耳鳴りになる事がありますが、通常、しばらく経てば良くなります。しかし急性の音響外傷性の難聴・耳鳴りは、すぐに耳鼻科に行くことで慢性化を防ぐかもしれないので、心配ならば代替療法や民間療法ではなく耳鼻科を受診して下さい。
また、たった1回の爆音を聞いただけで回復不可能なまでに有毛細胞が傷害され、ずっと良くならない人もいます。またヘッドホンを大きな音量で聞いたり、建設作業員のように騒音に長時間晒される環境にいると有毛細胞がしだいに傷害され難聴や耳鳴りが回復不可能になる事があります。このタイプの耳鳴りは当院に来てもお役にたてないでしょう。 - 老化による耳鳴り
- 脳や内耳の加齢・老化によって発症する耳鳴りは耳鼻科でも恐らく改善は難しいと思います。
当院でも耳鳴りの改善はほとんど期待できませんが、歳のせいだからと言って諦めて放置しておくと脳の老化がさらに進行します。脳の老化症状である認知症の初期症状であるかもしれないので、例え耳鳴りが改善できなくても、当院で脳の老化対策のセラピーをする意義はあると私は考えています。
耳鳴りのメカニズム
老化は、耳鳴りで耳鼻科を受診する人の中で最も多い原因で、多くの場合、難聴を伴っています(耳鳴りがある人の9割は難聴があるそうです)。例え難聴の自覚がなくても耳鼻科の聴力検査では難聴があるかもしれませんので気になる方は調べてもらうと良いかもしれません。
また、耳鳴りは難聴によって聞こえづらい音域の音が出る特徴があり、高い音が聞こえなくなる難聴では高音の耳鳴りが聞こえます。
難聴がきっかけで耳鳴りが発生するメカニズムは
難聴によって聞こえづらい音域がある→その音域を何とか感知しようとして中枢神経が過敏になる→耳鳴りが出る
つまり難聴に対する中枢神経の過敏が耳鳴りの原因です。
※聴覚過敏症状も中枢神経の過敏という点では共通しています。
ではなぜ脳や内耳が老化するのでしょう?
耳鳴りの原因となる脳や内耳の老化に大きく関わっているのが、脳細胞の増加や成長を促すタンパク質であるBDNF(脳由来神経栄養因子)の減少です。(後述します)。
それから、興奮性の神経伝達物質であるグルタミン酸の興奮毒性が中枢神経を傷害する事も脳や内耳の老化に大きく関係しています。グルタミン酸の興奮毒性は中枢性過敏の原因でもあります。(後述します)
それから、活性酸素や重金属(特に水銀)が脳細胞を傷害する事も原因です。
脳の老化(萎縮・損傷)の原因
- BDNF(脳由来神経栄養因子)の減少
- BDNF(脳由来神経栄養因子)とは、脳細胞の増加や成長を促すタンパク質です。精神的ストレスの増加と運動不足でBDNFが減少する事で脳の発達が止まり萎縮します。
- グルタミン酸の興奮毒性
- 過剰なグルタミン酸は脳の興奮性を亢進させ、その興奮毒性により中枢神経を傷害してゆきます。
- ストレスホルモンであるコルチゾールの脳内流入
- ストレスによって大量のコルチゾールが脳内に流入し、脳が萎縮・損傷します。
- 活性酸素
- 脳は活性酸素に非常に弱い部位です。
- 重金属
- 特に水銀は中枢神経を破壊します。
- 脳のエネルギー不足
- 脳の修復や発達にはエネルギーが必要です。
脳を発達させるBDNF(脳由来神経栄養因子)を増やすアプローチ
BDNF(脳由来神経栄養因子)とは、脳細胞の増加や成長を促すタンパク質です。このBDNFの減少が脳に関する様々な疾患と大きく関係がある事が明らかになっています。
このBDNFはストレス低減と運動によって増加しますので、運動を習慣化し、必要あれば心理療法を行う事がBDNFの増加にとても重要になってくるのです。(特に脳が最も発達する子供の時の運動はとても重要!)
※研究によると、BDNFを増加させるたために特に効果がある運動はHIIT(ハイ・インテンシティ・インターバル・トレーニングの略)のような強度の高い運動らしいのですが、運動不足で体力が低下した人には適していません。それに、実際には散歩程度の軽い運動でも効果があります。
BDNFはミエリン形成に重要
※画像はWikipediaから
ミエリン(ミエリン鞘)とは、神経を覆っている絶縁体のカバーのようなものです。髄鞘とも言います。このミエリンが有る神経を有髄神経と言い、ミエリンが無い神経を無髄神経と言います。そして、このミエリンの形成不全や障害が脳の老化や様々な中枢神経の疾患と大きな関係があります。
↑白く見えるところが白質、グレーのところが灰白質 画像はウィキペディアより
このミエリンの主な材料はコレステロールです。ちなみに脳の画像で白く見える部分を白質といいますが、それはミエリンのコレステロールの色です(グレーに見える部分を灰白質といいます)。脳が萎縮している人の画像はこの白い部分がグレーの部分より大きく萎縮しています。
食べ物に含まれているコレステロールが脳に入ってミエリンになるのではなく、脳内で合成されたコレステロールがミエリンの材料として使われています。
BDNF(脳由来神経栄養因子)が脳内でコレステロールを合成する酵素を活発にしミエリンの形成を促進しています。なので、ミエリン形成のために運動とストレス低減は重要です。またインスリンにもコレステロールを合成する酵素を活発にする働きがあります。
ではコレステロールを下げる薬(コレステロールの合成酵素を阻害する薬:スタチンなど)を飲むとどうなるかというと、脳内でのコレステロール合成量が低下するためミエリンの形成も著しく抑制されるという問題が起こります。(これはコレステロールの薬を飲んでいる人には悩ましい問題ですね。)
グルタミン酸の興奮毒性に対するアプローチ
グルタミン酸というのは中枢神経における興奮性の神経伝達物質で、これが正常に(適度に)働いていれば記憶や学習などの脳の高次機能システムに重要な役割を果たします。しかし過剰なグルタミン酸は脳の興奮性を亢進させ、その興奮毒性により中枢神経を傷害してゆきます。
またグルタミン酸の興奮毒性は中枢性感作という中枢神経に原因がある感覚過敏を引き起こすので、線維筋痛症や過敏性腸症候群などの感覚過敏症状とも関係があります。
グルタミン酸の興奮毒性の原因
(1)まず考えられるのがストレスです。グルタミン酸神経の働きはストレスによって増強するからです。ストレス対策は非常に重要になります。
(2)それからGAD(グルタミン酸デカルボキシラーゼ)という酵素の活性低下が考えられます。グルタミン酸はGADによってGABA(ガンマアミノ酪酸)という抑制性の神経伝達物質、つまり脳の興奮を抑え精神を安定させる物質に変わります。睡眠薬はこのGABAの働きを良くして脳の興奮を抑える働きがあります。
そのGADの酵素活性が低下すると、グルタミン酸とGABAがアンバランスになり、グルタミン酸の興奮毒性が増大します。そのGADの酵素活性を低下させる要因には以下のようなものがあります。
- 遺伝
- 重金属(特に水銀と鉛)
- ウイルス
- 抗GAD抗体(インスリン依存性糖尿病の患者に多い)
(3)グルタミン酸受容体(特に重要なのがNMDA型グルタミン酸受容体)が過剰に活性化する事も興奮毒性の増大に繋がります。マグネシウムや亜鉛にはグルタミン酸受容体の活性を落ち着かせる働きがあります。
↑炎症やストレスなどによってIDOという酵素が活性化すると、トリプトファンがキヌレニン経路に流れてゆきます。そして最終的にはナイアシンの活性化型であるNADに代謝されるのですが、この時にマグネシウムが不足しているとNMDA型グルタミン酸受容体を活性化する作用があるキノリン酸で代謝がストップしキノリン酸が増加します。
ですから、慢性炎症やストレスのある状況下ではマグネシウムをたくさん摂取する必要があります。
酸化ストレス(活性酸素)へのアプローチ
脳は酸化ストレスに非常に弱い部位です。
脳の重量は体重の2%であるにもかかわらず、吸入した酸素の20%を消費します。また活性酸素の標的になる多価不飽和脂肪酸を多く含む一方で、脳の抗酸化物質、酵素レベルは他の臓器に比べ低いのです。
脳に関する様々な疾患には酸化ストレスによるダメージが関与しています。
酸化ストレスの原因は、ストレスや毒素によって活性酸素をたくさん産生している事と、栄養不足によって活性酸素を代謝して無害にできない体質です。
ですから、心理療法が必要な方もたくさんいますし、栄養療法によって活性酸素を代謝できるようにするアプローチが必要になります。
※活性酸素についてこちらのページでさらに詳しく解説しています
有害重金属・化学物質へのアプローチ
水銀、鉛、アルミニウム、ヒ素、カドミウムなどの重金属の蓄積が体に与える影響は非常に大きく、精神疾患の他、頭痛、不眠症、アトピー、胃腸障害、関節炎、慢性疲労、ホルモンバランス異常、不妊症、パニック障害など、様々な症状を引き起こします。
重金属は、酵素の働きを阻害して体内の円滑な営みを妨害したり、ホルモンなどの働きを邪魔したり、神経伝達物質の働きを妨害したり、脳細胞などの神経そのものを破壊し、心と体を蝕んでいきます。
↑水銀を滴下すると脳神経細胞が破壊されていく様子
※重金属・過化学物質についてはこちらのページでさらに詳しく解説しています。
脳のエネルギー不足へのアプローチ
脳の重量は体重の2%程度にもかかわらず、摂取カロリーの20~30%を消費します。 それだけ脳はエネルギーを必要とし、エネルギーが不足すると真っ先に機能低下しやすいのが脳なのです。脳の修復・成長を促すためには脳のエネルギーが必要です。
そのエネルギーを合成するのがミトコンドリアです。
そしてミトコンドリアにダメージを与えるのが活性酸素であり、ミトコンドリアのエネルギー合成経路を阻害するのが有害金属です。ですから活性酸素や有害重金属へのアプローチは多くの方に重要です。
その他、ミトコンドリアでATPを合成するためには、ビタミンB郡、鉄、CoQ10、マグネシウムなどを必要とします。また甲状腺ホルモンの働きも必要です。
血糖や中性脂肪はATPを作るための材料となりますので、低血糖や低中性脂肪の人はATPが不足するので脳活動も省エネモードになります。低血糖や低中性脂肪にはストレスや栄養不足による副腎疲労が大きく関係しています。