咽喉頭異常感症(ヒステリー球)に対するアプローチ
当院ではフィシオエナジェティック®によって症状の原因を調べています。フィシオエナジェティック®では、腕の長さの変化となって現れる体の反応を読み取りながら治療を進めていきます。これをARテスト(腕長反射)と言います。
※当院では医師のような病気の診断や医療行為はできません。フィシオエナジェティック®はあくまで代替療法であり、現代医学で認められていない事をご了承下さい。
以下のような咽喉頭部や食道の狭窄感、異物感、不快感などを訴えるが検査値の異常や器質的病変がみられない症状を咽喉頭異常感症あるいはヒステリー球といいます。
- 喉に何かつまっている感じ/喉に何かがひっかかっている感じ/喉に塊りがある感じ
- 喉が塞がる感じ
- 喉の奥がはれている感じ
- 喉がイガイガする
- 胸がつかえる感じ
咽喉頭部や食道の違和感・異物感は食道癌、胃がん、咽喉頭の腫瘍など重大な病気の可能性もあります。ですから来院を検討されている方は、まず先に耳鼻科や内科を受診して、何も異常がなく原因がわからなかった場合に来て下さい。
咽喉頭異常感症の人によくみつかる問題
- グルタミン酸による中枢性の感覚過敏
- ストレス(これがかなり大きい)
- 活性酸素
- 重金属(特に水銀と鉛)
- 慢性ウイルス感染
- ビタミンB6、マグネシウム、亜鉛、NACの必要性。
- 胃酸分泌不足
- カンジダ
中枢神経の問題により咽喉頭・食道が感覚過敏になっている
咽喉頭異常感症の原因は中枢性感作かもしれません。(病院で検査値の異常や器質的病変がみられない場合、おそらくこれが最大の原因だと思います。)
中枢性感作とは、中枢神経の問題により感覚過敏になっている状態です。
中枢性感作は痛覚過敏、光過敏、聴覚過敏、嗅覚過敏、粘膜の知覚過敏など様々な過敏症に関連しています。
以下のような症状は刺激に対する過敏性という共通点があります。
- 線維筋痛症→疼痛過敏
- 慢性疲労症候群→光過敏、聴覚過敏
- 過敏性腸症候群→腸粘膜の過敏
- 機能性ディスペプシア→胃粘膜の過敏
- ヒステリー球(咽喉頭異常感症)→喉粘膜の過敏
- 顎関節症→顎関節の知覚過敏
- むずむず脚症候群→脚の知覚過敏
中枢性感作が関係しているこのような症状を中枢性感作症候群と呼ぶ事もあり、その代表的な症状が線維筋痛症です。
咽喉頭異常感症がある人は、機能性ディスペプシアや過敏性腸症候群など、中枢性感作症候群に属する他の症状も併発しやすくなります。
では中枢性感作の原因は何でしょうか?
それはグルタミン酸の興奮毒性です。グルタミン酸というのは中枢神経における興奮性の神経伝達物質で、これが正常に(適度に)働いていれば記憶や学習などの脳の高次機能システムに重要な役割を果たします。しかし過剰なグルタミン酸は脳の興奮性を亢進させ、その興奮毒性により中枢神経を傷害してゆきます。
例えば、以下のような疾患がグルタミン酸の興奮毒性と関係があると考えられています。
うつ病、線維筋痛症、不眠症、双極性障害、強迫性障害、自閉症、認知症、アルツハイマー病、パーキンソン病、てんかん、脳虚血/脳梗塞、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、脊髄小脳変性症、多発性硬化症、緑内障、自閉症、薬物依存、片頭痛、、本態性振戦、、、など。
グルタミン酸の興奮毒性の原因
(1)まず考えられるのがストレスです。グルタミン酸神経の働きはストレスによって増強するからです。ストレス対策は非常に重要になります。
(2)それからGAD(グルタミン酸デカルボキシラーゼ)という酵素の活性低下が考えられます。グルタミン酸はGADによってGABA(ガンマアミノ酪酸)という抑制性の神経伝達物質、つまり脳の興奮を抑え精神を安定させる物質に変わります。睡眠薬はこのGABAの働きを良くして脳の興奮を抑える働きがあります。
そのGADの酵素活性が低下すると、グルタミン酸とGABAがアンバランスになり、グルタミン酸の興奮毒性が増大します。そのGADの酵素活性を低下させる要因には以下のようなものがあります。
- 遺伝
- 重金属(特に水銀と鉛)
- ウイルス
- 抗GAD抗体(インスリン依存性糖尿病の患者に多い)
(3)グルタミン酸受容体(特に重要なのがNMDA型グルタミン酸受容体)が過剰に活性化する事も興奮毒性の増大に繋がります。マグネシウムや亜鉛にはグルタミン酸受容体の活性を落ち着かせる働きがあります。
グルタミン酸の興奮毒性に対する栄養療法
グルタミン酸の興奮毒性を栄養療法で抑えるには以下のようなアプローチが考えられます。私の場合は全てARテストによって必要なサプリメントを調べています。
- 活性酸素対策
- 複数あるグルタミン酸の受容体の中で、代表的なNMDA型グルタミン酸受容体の感受性は活性酸素に敏感に反応して活発になるので、活性酸素対策は重要です。
※活性酸素についてはこちらのページで詳しく解説しています。 - 重金属の解毒
- 重金属、特に水銀と鉛はGADの働きを抑制するので、重金属対策は重要です。
※重金属についてはこちらのページで詳しく解説しています。 - P5P(ビタミンB6の活性化型)の摂取
- ビタミンB6はGADの補酵素です。GADを活性化させグルタミン酸をGABAに変換させるために使います。遺伝的にGADの活性が低下している人には特に重要です。
- NAC(Nアセチルシステイン)の摂取
- NACは脳内のグルタミン酸レベルを調整する働きがあります。またその抗酸化作用や解毒作用もグルタミン酸の興奮毒性の抑制に役立ちます。
- マグネシウムと亜鉛の摂取
- マグネシウムや亜鉛がNMDA型グルタミン酸受容体の活性を落ち着かせる働きがあります。
中枢性感作症候群のための心理療法のポイント
私達の自律神経は、通常、安心・安全な状況や環境においては落ち着きます。例え生命の危険を感じるほどの高強度・高衝撃のトラウマ記憶がまだ整理・統合されずに残っていたとしても、安心・安全な状況や環境においては落ち着く事ができます。
※トラウマとは物語のように時系列に言葉で説明できる記憶ではなく、胸がドキドキするとか、事故の時の断片的な映像や音のような身体感覚の記憶です。
ところが咽喉頭異常感症などの中枢性感作症候群の人は、安心・安全な状況や環境においても落ち着けないという特徴があります。その原因は、通常は自律神経の調節不全を引き起こす事がない日常の小さな刺激にも自律神経が反応しているからです。
また不思議に思われるかもしれませんが、中枢性感作症候群の人の多くは、ポジティブな体験・感情・思考であっても自律神経の調節不全を引き起こします。
ですから、
「最近、まあまあ調子が良かった時はどんな時ですか?」
「最近、嬉しかった事、楽しかった事はありますか?」
「最近、自分が自分らしくいられた時はどんな時ですか?」
このような事を質問してから身体感覚の変化を探してもらうと、不思議な事に「呼吸が苦しくなる」「上半身全体が緊張してくる」などの落ち着かない身体感覚が出てくる人は少なくありません。
中枢性感作症候群の人は、このように非常に小さな刺激に反応して自律神経の調節不全を起こすので、刺激を与える時は通常よりもかなり小さな刺激にする事が超重要です。
「やってもらった!」という満足感を得られる刺激の強い心理療法は長期的にみると逆効果です。何故なら「やってもらった!」という大きな満足感ですら自律神経の調節不全の原因となるからです。
Less is More(少ない方が豊か)とか、Slow is Fast(ゆっくりやるのが早い)と形容されるように、大きく刺激して短期間で大きく変えようとするより、小さく・ゆっくり変化させるほうが後戻りもなく、結局、そのほうが近道となります。
※私の心理療法のやり方についてはこちらのページで詳しく解説しています。