無月経や月経不順(生理不順)に対するアプローチ

 

当院ではフィシオエナジェティック®によって症状の原因を調べています。フィシオエナジェティック®では、腕の長さの変化となって現れる体の反応を読み取りながら治療を進めていきます。これをARテスト(腕長反射)と言います。

※当院では医師のような病気の診断や医療行為はできません。フィシオエナジェティック®はあくまで代替療法であり、現代医学で認められていない事をご了承下さい。

無月経・月経不順(生理不順)の人によくある問題

  • 痩せすぎ(BMIが18.5以下、体脂肪率が17%以下)
  • 痩せ願望
  • ストレス
  • 性腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)の分泌不全
  • 機能性ディスペプシア
  • 甲状腺機能低下&プロラクチン過剰
  • インスリン抵抗性&排卵障害
  • 女性性(女性らしさ)の否定(性的トラウマなどが関係している事があります)

視床下部性無月経に対するアプローチ

視床下部性無月経とは、視床下部が分泌する性腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)の分泌不全によって起こる無月経です。月経不順にも関係します。視床下部性無月経の主な原因は、精神的ストレス,過度の体重減少、過度の運動で、若い女性の無月経の原因として最も多いと考えられています。

視床下部性無月経のうち、過度の体重減少によっておこる無月経の事を体重減少性無月経ともいいます。体重減少性無月経の場合、体重を増やしても回復するまでに2~3年くらいかかる事もあります。

無月経にはレベルがあり、深刻度が低いほうから、第1度無月経(プロゲステロンを投与すると出血が起こるレベル)→第2度無月経(プロゲステロンとエストロゲンの2つを投与するとやっと出血が起こるレベル)→不可逆無月経(再び元の状態に戻らないレベル)となります。

無月経になるBMIと体脂肪率はどのくらい?

BMIとは身長だと体重と身長から算出される体格指数で、こちらのサイトで簡単に計算できます。

BMIは日本の基準だと18.5未満で痩せすぎ、世界の基準(WHO)だと16未満で痩せすぎという事になっています。無月経や生理不順を治したいなら、BMIは最低18.5以上、できれば22くらい欲しいところです。

ちなみにBMIが22になる体重は

  • 身長140cmの人は43.12kg
  • 身長145cmの人は46.26kg
  • 身長150cmの人は49.5kg
  • 身長155cmの人は52.86kg
  • 身長160cmの人は56.32kg
  • 身長165cmの人は59.9kg
  • 身長170cmの人は63.588kg
  • 身長175cmの人は67.38kg

日本における不妊治療の第一人者である吉村泰典先生によると、BMIが21以下で第1度無月経になりやすくなり、18以下で第2度無月経になりやすく、16以下で不可逆無月経になりやすいそうです。

体脂肪率は、17%以下で無月経になりやすくなります。無月経や生理不順を治したいなら最低でも17%以上、できれば22%欲しいところです

また、痩せていない人であっても急激で大幅な体重減少は無月経の原因となります。無理なダイエットとリバウンドを繰り返すと卵巣機能が低下し元に戻りにくくなります。

視床下部性無月経の最大の原因はストレスと痩せすぎです。特に多いのが、ストレスで胃の機能が低下しているため、食べなければならないと思っているのに少食な人です。さらにそのストレスを自覚していない人も結構います。

では、なぜ自分のストレスに気づいていないのでしょう?

それは、ストレスとは思えない平凡な日常の小さな刺激やポジティブな体験でさえも、自律神経の調節不全を起こしてしまうからです。例えば、最近の嬉しかった事や楽しかった事を思い出すだけでも落ち着かない身体感覚が出てくる人は少なくありません。このような状態ですから、日常のとても小さな事をテーマにしたトラウマセラピーをたくさん繰り返す必要があります。

それから痩せすぎの原因には痩せ願望が関係している事が多いです。ですから、体脂肪率22%とBMI22を目指す事を私が提案したとしても、「太りたくない」「もっと脚を細くしたい」と思う人がたくさんいます。「体重を増やそう!」という気持ちが全くない場合は体重減少性無月経の改善はとても難しくなります。そのような方が私の所に来ていただいてもお役に立てないでしょう。

しかし、「体重を増やしたくない」という気持ちがあったとしても、「体重を増やそう!」という気持ちもあれば、その2つの相反する気持ち(葛藤)に対する心理療法を行う事によって改善の見込みがあります。その場合、「体重を増やそう!」という気持ち(副人格)を肯定して、「体重を増やしたくない」という気持ちを否定するのではなく、「体重を増やしたくない」という気持ちも認め理解し、その肯定的な役割に気づく必要があります。例えば、愛されたい・認められたいという普段は隠れている気持ちが表面化すると辛くなるので、それらが表面化しないように蓋をしている肯定的役割があるかもしれません。

※私の心理療法についてはこちらのページで詳しく解説しています。

高プロラクチン血症へのアプローチ

無月経・稀初月経・無排卵月経や不妊症の原因の1つがプロラクチンの過剰分泌です。

プロラクチンの過剰分泌の原因としてまず甲状腺機能低下やドーパミン分泌不足が考えられます。(その他、下垂体腫瘍などが考えられます)

甲状腺機能低下になると視床下部からTRH(甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン)を過剰に分泌して何とか甲状腺ホルモンを分泌させようとします。しかし、TRHはプロラクチンを分泌させるホルモンでもあるため高プロラクチン血症となります。

甲状腺機能低下の原因として鉄やビタミンAの不足、炎症や酸化ストレス(活性酸素)、環境毒素、自己免疫反応など様々な原因があります。

※甲状腺機能低下についてこちらのページでさらに詳しく解説しています。

またドーパミンの分泌不足の原因としては、、ストレスやモノアミンオキシダーゼというドーパミンを分解する酵素の活性亢進などがあります。

モノアミンオキシダーゼは過剰な銅によって活性亢進するので、銅をデトックスするサプリメントや、銅の拮抗ミネラルである亜鉛やモリブデンなどが有効である場合があります。またストレス対策として心理療法を行う事もあります。

排卵障害・多嚢胞性卵巣症候群に対するアプローチ

多嚢胞性卵巣は女性の20〜30人に1人の割合でみられる、割とよくある疾患です。多嚢胞性卵巣になると排卵ができないため、無月経や月経不順、にきび、多毛、肥満、不妊の原因となります。

排卵とは、成熟した卵胞が裂けて中から卵子を放出する事です。放出後の卵子が黄体に変化します。

排卵しないと黄体に変化せず、そのため黄体ホルモン(プロゲステロン)も分泌できません。

排卵できないと脳は黄体形成ホルモン(LH)をたくさん出して何とか排卵させようと刺激し続けます。その間、黄体ホルモン(プロゲステロン)が分泌できない状態のまま、卵胞ホルモン(エストロゲン)がたくさん分泌し続けるという状態になります。(↓画像はWikipediaより)


排卵障害・多嚢胞性卵巣症候群の原因としてインスリンが効きにくい体質(インスリン抵抗性)があります。インスリン抵抗性があると男性ホルモンが増加します。そして卵巣で男性ホルモンがたくさん作られてしまうせいで排卵を妨げてしまいます。また、にきびや多毛なども男性ホルモンの作用で出現します。

インスリン抵抗性の原因

栄養素の不足
特にカルシウム、マグネシウム、ビタミンD
運動不足
運動は筋肉におけるインスリン抵抗性を改善させるのにとても効果的です。肥満が解消されなくても比較的短期間でインスリン抵抗性が改善する事もあります。
酸化ストレス(活性酸素)
酸化ストレスは活性酸素の過剰産生と活性酸素消去系の減弱が関係しています。活性酸素を消去するサプリメントを摂取しながら、飲酒喫煙を避け、ストレスが大きかったら減らす事が重要です。
腸内フローラのアンバランス
善玉菌が作り出す短鎖脂肪酸(酢酸、プロピオン酸、および酪酸)にはインスリン抵抗性を改善する作用があります。短鎖脂肪酸が増加し、短鎖脂肪酸の受容体であるGPR43が活性化すると、筋肉や肝臓でのインスリンの働きがよくなります(=インスリン抵抗性が改善する)。

また、脂肪組織でのインスリン抵抗性が強くなる事によって脂肪細胞の増加を抑える事ができます。脂肪細胞からはインスリン抵抗性を悪化させる物質(TNFαや遊離脂肪酸など)が出ているので、短鎖脂肪酸によって脂肪細胞の増加を抑える事は全体としてインスリン抵抗性を改善させる事にもなります。
慢性炎症
炎症を引き起こすTNFα(炎症性サイトカイン)はインスリン抵抗性の原因です。肥大化した脂肪細胞がTNF-αをたくさん産生するので、肥満はインスリン抵抗性の大きな原因となります。TNFαは免疫疾患でも増加しますので、その場合は免疫を正常化するアプローチが必要になります。
遊離脂肪酸
遊離脂肪酸とは脂肪細胞に蓄えられた中性脂肪が分解されて血液に放出され、エネルギー源として活用される脂肪分です。血中の遊離脂肪酸が多いとインスリン抵抗性をおこします。肥大化した脂肪細胞からは遊離脂肪酸をたくさん分泌するので、肥満の人は体脂肪率を下げる事が重要になります。

ただし、遊離脂肪酸は肥満の人だけでなく痩せていて中性脂肪が低い人でも高値になる事があります。その場合は恐らく低血糖が関係してるでしょう。低血糖になってエネルギーがなくなると、血糖の代わりに中性脂肪を分解して遊離脂肪酸を作り出し、遊離脂肪酸からエネルギーを合成しようとします。しかし、ミトコンドリア機能低下があると遊離脂肪酸からエネルギーを合成できないために、血中の遊離脂肪酸が増加します。この場合は、低血糖対策だけでなく、ミトコンドリア機能低下への対策も必要です。