片頭痛に対するアプローチ


当院ではフィシオエナジェティック®によって症状の原因を調べています。フィシオエナジェティック®では、腕の長さの変化となって現れる体の反応を読み取りながら治療を進めていきます。これをARテスト(腕長反射)と言います。

※当院では医師のような病気の診断や医療行為はできません。フィシオエナジェティック®はあくまで代替療法であり、現代医学で認められていない事をご了承下さい。


片頭痛のメカニズムは、まだ完全には解明されていません。以前は脳の血管が収縮してその後、血管が拡張して頭痛が起こるという「血管拡張説」が有名でした。しかし、最近では、その説はやや否定的に考えられています。

その後、血管拡張説の他に、三叉神経説、中枢起源説、セロトニン説などが登場していますが、結局のところ、ストレス、音や光や臭いなどの刺激、気圧の変動、女性ホルモンの変動、睡眠不足や寝すぎ、食べ物などが引き金になっているという事は同じです。

中枢神経感作に対するアプローチ

中枢性感作とは、中枢神経の問題により感覚過敏になっている状態です。

そして最近の研究によると、片頭痛には、中枢神経感作による疼痛過敏も関係しているようです。

また、片頭痛の人には光過敏、聴覚過敏、嗅覚過敏などがある事がよく知られていますが、それも中枢神経感作でしょう。それから、気圧の変動によって片頭痛が出る人もいますが、それは気圧の変動を感じとる働きがある内耳の前庭感覚が感覚過敏になっているのかもしれません。

以下のような症状は刺激に対する過敏性という共通点があります。

  • 片頭痛→疼痛過敏、光過敏、聴覚過敏、嗅覚過敏
  • 線維筋痛症→疼痛過敏
  • 慢性疲労症候群→光過敏、聴覚過敏
  • 過敏性腸症候群→腸粘膜の過敏
  • 機能性ディスペプシア→胃粘膜の過敏
  • ヒステリー球(咽喉頭異常感症)→喉粘膜の過敏
  • 顎関節症→顎関節の知覚過敏
  • むずむず脚症候群→脚の知覚過敏

中枢性感作が関係しているこのような症状を中枢性感作症候群と呼ぶ事もあり、その代表的な症状が線維筋痛症です。

では中枢性感作の原因は何でしょうか?

それはグルタミン酸の興奮毒性です。グルタミン酸というのは中枢神経における興奮性の神経伝達物質で、これが正常に(適度に)働いていれば記憶や学習などの脳の高次機能システムに重要な役割を果たします。しかし過剰なグルタミン酸は脳の興奮性を亢進させ、その興奮毒性により中枢神経を傷害してゆきます。

例えば、以下のような疾患がグルタミン酸の興奮毒性と関係があると考えられています。

うつ病、線維筋痛症、不眠症、双極性障害、強迫性障害、自閉症、認知症、アルツハイマー病、パーキンソン病、てんかん、脳虚血/脳梗塞、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、脊髄小脳変性症、多発性硬化症、緑内障、自閉症、薬物依存、片頭痛、、本態性振戦、、、など。

グルタミン酸の興奮毒性の原因

まず考えられるのがストレスです。グルタミン酸神経の働きはストレスによって増強するからです。ストレス対策は非常に重要になります。

それからGAD(グルタミン酸デカルボキシラーゼ)という酵素の活性低下が考えられます。グルタミン酸はGADによってGABA(ガンマアミノ酪酸)という抑制性の神経伝達物質、つまり脳の興奮を抑え精神を安定させる物質に変わります。睡眠薬はこのGABAの働きを良くして脳の興奮を抑える働きがあります。

そのGADの酵素活性が低下すると、グルタミン酸とGABAがアンバランスになり、グルタミン酸の興奮毒性が増大します。そのGADの酵素活性を低下させる要因には以下のようなものがあります。

  • 遺伝
  • 重金属(特に水銀と鉛)
  • ウイルス
  • 抗GAD抗体(インスリン依存性糖尿病の患者に多い)

さらにグルタミン酸受容体(特に重要なのがNMDA型グルタミン酸受容体)が過剰に活性化する事も興奮毒性の増大に繋がります。

中枢性感作に対する栄養療法

グルタミン酸の興奮毒性を栄養療法で抑えるには以下のようなアプローチが考えられます。私の場合は全てARテストによって必要なサプリメントを調べています。

活性酸素対策
複数あるグルタミン酸の受容体の中で、代表的なNMDA型グルタミン酸受容体の感受性は活性酸素に敏感に反応して活発になるので、活性酸素対策は重要です。
※活性酸素についてはこちらのページで詳しく解説しています。
重金属デトックス
重金属、特に水銀と鉛はGADの働きを抑制するので、重金属対策は重要です。
※重金属についてはこちらのページで詳しく解説しています。
P5P(ビタミンB6の活性化型)の摂取
ビタミンB6はGADの補酵素です。GADを活性化させグルタミン酸をGABAに変換させるために使います。遺伝的にGADの活性が低下している人には特に重要です。
NAC(Nアセチルシステイン)の摂取
NACは脳内のグルタミン酸レベルを調整する働きがあります。またその抗酸化作用や解毒作用もグルタミン酸の興奮毒性の抑制に役立ちます。
マグネシウムと亜鉛の摂取
マグネシウムや亜鉛がNMDA型グルタミン酸受容体の活性を落ち着かせる働きがあります。

片頭痛の人のトラウマ

トラウマとは物語のように時系列に言葉で説明できる記憶ではなく、胸がドキドキするとか、事故の時の断片的な映像や音や光や匂いのような身体感覚の記憶です。

私達の自律神経は、通常、安心・安全な状況や環境においては落ち着きます。例え生命の危険を感じるほどの高強度・高衝撃のトラウマ記憶がまだ整理・統合されずに残っていたとしても、安心・安全な状況や環境においては落ち着く事ができます。

ところが中枢性感作症候群の人は、安心・安全な状況や環境においても落ち着けないという特徴があります。その原因は、通常は自律神経の調節不全を引き起こす事がない日常の小さな刺激、例えば音・光・匂いなどにも自律神経が反応しているからです。

また不思議に思われるかもしれませんが、中枢性感作症候群の人の多くは、ポジティブな体験・感情・思考であっても自律神経の調節不全を引き起こします。

ですから、

「最近、まあまあ調子が良かった時はどんな時ですか?」
「最近、嬉しかった事、楽しかった事はありますか?」
「最近、自分が自分らしくいられた時はどんな時ですか?」

このような事を質問してから身体感覚の変化を探してもらうと、不思議な事に「呼吸が苦しくなる」「上半身全体が緊張してくる」などの落ち着かない身体感覚が出てくる人は少なくありません。

中枢性感作症候群の人は、このように非常に小さな刺激に反応して自律神経の調節不全を起こすので、刺激を与える時は通常よりもかなり小さな刺激にする事が超重要です。

またLess is More(少ない方が豊か)とか、Slow is Fast(ゆっくりやるのが早い)と形容されるように、大きく刺激して短期間で大きく変えようとするより、小さく・ゆっくり変化させるほうが後戻りもなく、結局、そのほうが近道となります。

※私の心理療法のやり方についてはこちらのページで詳しく解説しています。

寝不足や寝すぎが引き金となる片頭痛

普段、寝不足気味で疲れが溜まっている人が、休みの日に寝溜めすると片頭痛が起きる事がよくあります。(私も経験者です)

このパターンの片頭痛の人は、普段から寝不足がないようにして疲れを貯めないようにする事が最も良い解決方法です。そして当院に来る必要もありません。

フェノール過敏症(不耐症)に対するアプローチ

フェノール過敏症とはフェノール類多く含む食品を摂取する事によって、以下のような様々な症状がでる事です。片頭痛の原因としてよく知られているチラミン不耐症もフェノール過敏症の一種です。

そして、フェノールの摂取源としては以下のようなものがあります。しかし、フェノールはほとんどの食品に含まれているため完全に回避することはできません。

ポリフェノール
コーヒーのクロロゲン酸、お茶のカテキンやタンニン、ぶどうのアントシアニン、大豆のイソフラボン、ウコンのクルクミン、ごまのリグナン、いちごのエラグ酸など
アミン類(ヒスタミン、チラミンなど)
ワイン、チーズ、ココア、チョコレート、バナナ、魚の干物や缶詰、サラミ
グルタミン酸
化学調味料やグルテンに多く含まれる。
人工フェノール
プラスチックから溶け出るビスフェノールA(BPA)
サリチル酸
ベリー類、りんご、ぶどう、トマト、アーモンド、スイカ、薬のアスピリンなど

フェノール過敏症の対策

フェノールの摂取を減らす
特にグルテンや化学調味料やコーヒーは減らす事をおすすめします。
硫酸化やメチル化のサポート
フェノールは硫酸化(硫酸抱合)やメチル化によって分解されます。よって硫酸化やメチル化の障害によってフェノール過敏症になります。

硫酸化に必要な硫酸塩を合成するために硫黄を多く含む食品を摂取します。特にシステインやメチオニンという硫黄含有アミノ酸を多く含む動物性蛋白質やプロテインパウダー、ニンニクや玉ねぎなどのユリ科の野菜やブロッコリやキャベツなどのアブラナ科の野菜が硫黄のよい供給源です。

また硫酸塩を合成する酵素であるSUOX(亜硫酸オキシダーゼ)に必要なモリブデンをサプリメントでしっかり摂取する必要があるかもしれません。

それから有害化学物質や薬も硫酸化によって代謝・解毒されます。なので、それらをたくさん摂取していると硫酸塩が枯渇しフェノールが分解できなくなりますので注意が必要です。。
フェノール類をサポートするサプリメントの使用
Houston Enzymes社のNo-Fenolというサプリメントがあります。高価なサプリメントなので私はおすすめする事はありませんが、「こんなのもあるよ」というご紹介くらいで書いておきます。
腸内環境を整える
フェノールは腸内の酵母の繁殖や微生物の副産物としても産生されるからです。

 

月経前の片頭痛に対するアプローチ

PMSとは、様々な精神症状や身体症状が月経がはじまる3~10日前から現れ、月経が始まると軽快・消失する事を毎回繰り返す疾患です。片頭痛もPMSの代表的な症状です。

月経前には、女性ホルモンのプロゲステロンの働きにより、血圧を上昇させるために水分と塩分を溜め込ませるレニン・アンジオテンシン・アルドステロン系が賦活(活性化)します。ですから身体がむくみます。そして、むくんだ症状が、頭に出れば片頭痛となります。

なので、おそらくですが、普段からレニン・アンジオテンシン・アルドステロン系の賦活を防いでおくと月経前の片頭痛の症状を軽減できるはずです。

ではレニン・アンジオテンシン・アルドステロン系の賦活を防ぐにはどうしたらよいのでしょうか?

まず簡単にできる事は、水を飲む事です。

なぜなら、水分が足りないと、身体に水分を溜め込めんで水分の損失を防ごうとする作用が増加します。浮腫んでいるからといって水分摂取を制限すると逆効果になります。

次に、減らせるストレスがあったら減らす事と心理療法を受ける事です。

レニン・アンジオテンシン・アルドステロン系は精神的ストレスにとても密接に関係していて、ストレスを感じた時にはレニン・アンジオテンシン・アルドステロン系が賦活し、血圧を上昇させてストレスに対抗しようとします。

※PMS(月経前症候群)についてはこちらのページで詳しく解説しています。